K-POP三大事務所の時価総額がavexやアミューズを超えた理由

株式市場でのK-POPの評価は?
飯田 一史 プロフィール

SM、YG、JYPで「最も優秀」なのは…

次にSM、YG、JYPを見てみよう(下表の単位は百万ウォン)。

YGの株価が一番高かったのは、当時所属アーティストだったPSYが「江南スタイル」で世界的にブレイクしていた2012年である(PSYブームでSMやFantagioの株価も上がったのに、JYPはその恩恵を受けていなかったのが興味深い)。

一方、一番低くなったのは2017年で、その後は上向き基調にあった――のだが、2018年暮れから立て続けに報道されているBIG BANGのV.I(スンリ)が役員を務めるクラブ・バーニングサンにおける集団暴行や大麻売買、交友関係にあった歌手チョン・ジュニョンによる性行為盗撮およびその動画共有事件、性接待斡旋、公務員(警察幹部)贈収賄、脱税疑惑などの影響で、19年3月現在は大幅に下落傾向にある。

もっとも、アイドルや俳優絡みのゴシップ、不祥事、社会的事件はバーニングサン事件に限らず韓国芸能界でもたびたび起こっているが、長期的に見ればそうしたことよりも会社の業績、財務がどうかということの方が株価のトレンドを左右している。

具体的に例を挙げれば、2018年夏にCubeは稼ぎ頭だった女性歌手ヒョナと男性アイドルグループ・ペンタゴンのメンバーであるイドンとの社内恋愛スキャンダルが起こり、2人を契約解除したことで短期的には株価が下がったが、18年末に年度の売上・利益が好調だったことが発表されると手のひらを返したように反転し、上昇トレンドを形成している。

 

もちろんヒョナとイドンのような恋愛スキャンダルと、バーニングサン事件の傷害や性暴力、買収とでは社会的な重みはまるで異なるものだが、「多くの投資家は数字を第一に見る」という点ではどちらに対してもスタンスは変わらない。

したがって、言い方を選ばなければ「スンリを契約解除したYGは、変わらず稼げそうだ」と投資家たちが判断するような数字が今後出てくれば、YGの株価も回復するだろう(ただし後述するが、そもそもそういう数字を出せるのかという疑問もある)。

警察に出頭する元BIGBANGのスンリ(Photo by gettyimages)

時価総額については、YGは売上がJYPの3倍以上あるのに、YGが6583億ウォン、JYPが約1兆300億ウォンとJYPの方が大きい(2018年11月12日調べ)。

ところで、時価総額とは何か。その企業が資産を使って将来生み出すキャッシュフローを現在価値に割り引いたものの総体が企業価値である。企業価値と時価総額の違いについてはコーポレート・ファイナンスの教科書を読んでほしいが(筆者には短く正確に説明する能力がない)、ざっくり言うと企業価値と似たようなものだ。

これまたざっくりした言い方だと断りつつ言うならば、2018年11月現在、YGは株式市場からは「JYPより将来稼ぐ額(の総額)が小さい会社である」と評価されていることになる。