2019.03.18
# ビジネススキル # スポーツ

野村克也氏語る「ダ・ヴィンチもエジソンもすごい『メモ魔』だった」

メモは時代を超えた最強ツール
野村 克也 プロフィール

解説者になって気づいたこと

27年間着続けたユニフォームを脱ぎ、私が現役を退いたのは昭和55年のことだ。翌年から解説者としてバックネット裏から野球を見るようになったのだが、私はここでそれまでの自分にはなかった新たな視点が生まれていることに気づいた。

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捕手というポジションから見る野球と、バックネット裏から見る野球では見え方がまったく異なり、それまで見えなかったこと、感じられなかったことがわかるようになったのだ。

「岡目八目」という言葉がある。これは碁を打ちあっている当事者より、それを横から見物している人のほうが「八目も優れて」戦いの展開が見えているという意味である。

バックネット裏から野球を見た私は、まさに「岡目八目」を実感していた。プレーヤーとして現場にいた時の私は「勝ちたい」という“欲”もあったし、チームやチームメートを思う“情”もあった。自分では冷静に、客観的に物事を判断しているつもりだったが、心の片隅にある“欲”や“情”が私の目を曇らせ、視野を狭めていた。

 

バックネット裏から野球を見て、私はその事実に気づかされた。現役時代に続けていたメモを取る作業は、言い換えれば「部分的に切り取ったものの蓄積」である。私はその蓄積を総合的に捉え、プレーしているつもりだったが、さらにそれらを大局的な視点で捉えると、また違ったものが見えてくるということなのだ。

ビジネスマンの方々も「部署が移動となり、それまでいた自分の部署を外から見るようになったら、それまで見えなかったことが見えるようになってきた」というような経験があるのではないだろうか。

また、初年度に経験する物事はうまくいかないが、2年目、3年目になると、最初に苦労したことが嘘のようにスムーズに業務を進行できるようになる、という経験をしたことがある方も多いと思う。これも客観的な視点が身についたからだと言えるだろう。

人は直接その物事にかかわっていると、自分ではわかっているつもりでも、冷静さを欠いたり、あるいは大局的な視点を失ったりしてしまうものなのかもしれない。メモを細目に取りつつ、時にまとめたノートを読み返して冷静かつ客観的に、より大きな視点で物事を捉えていくことが非常に大切なのだ。

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