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弱冠24歳で「遺伝子解析」の会社を作った、若き女性研究者の挑戦

ジーンクエスト・高橋祥子社長に聞く
人の身体の体質の傾向や疾病のリスクを分析する「個人向け遺伝子解析サービス」を日本ではじめて提供した「ジーンクエスト」の女性起業家、高橋祥子社長(30)が起業で苦労したこと、「遺伝子解析」における今後の展望などを語る。

人の身体にレアケースはない

実は私、生のほうれん草はあまり食べないようにしています。私の遺伝子を解析すると、腎結石になるリスクが高く、ほうれん草は原因となるシュウ酸を多く含んでいるからです。

このように、自分の疾病リスクを知れば、個人の体質に合わせ、より適切な予防が可能になります。医学の進歩、栄養状態の改善により、現在も平均寿命、健康寿命は延び続けていますが、今後は遺伝子解析も貢献するはずです。

私が遺伝子の研究に興味を持ったのは、高校生だった'03年に「ヒトゲノムの解析が完了した」というニュースを見たからです。

同じ頃、父が医師をつとめる病院へ行く機会があって、待合室にいらっしゃる大勢の方を見た瞬間「病気になってから治療をするだけではなく、病気になる前になんとかできるのでは?」と思いました。

 

起業したのは'13年です。大変なことばかりでしたが、前例がないことを始めたのだから当然です。

いま痛感しているのは最先端の技術と社会との間に大きなギャップがあること。研究者は「今後は個人が自分の遺伝情報を知り、活用する時代が来る」ことが当然と思っていますが、社会はその可能性を理解しきってはいないと思います。

学生時代の高橋祥子社長。起業した現在は、アジア最大の遺伝子検査企業への成長を目指している

遺伝子の研究のなかで感じたことがあります。「レアケースでない方はいない」ということです。病変などに結びつかないだけで、皆さん自分だけの特異な遺伝子を持っています。

私はたまに「生物は進化の過程で、どんな進化を遂げると環境に適応できるのか、次々遺伝子を変化させ試しているのでは?」と感じることすらあります。

技術革新が起こると、技術をどう使うか倫理的な問題が発生しますが、私は遺伝情報が活用される機会が増えても、「この人は普通じゃない」といった差別が起きないことを切に願います。多様性を否定するのは、生物学的にもナンセンスだからです。