1リットル1億円…!「月の水」発掘ビジネスに乗り遅れる日本

民間のムーンミッションが一斉スタート
嶺 竜一 プロフィール

地球から運べば1リットル1億円

「飲料水や植物を育てる水として非常に重要ですね。しかし今、水を探している人たちが想定している使い方は、それではありません。

水は電気分解すると酸素と水素に分かれます。それは何になるかわかりますか? 

ロケット燃料になるんです。月から地球や地球軌道上にロケットを運ぶための燃料や、月から火星に行くための燃料になる。つまり巨額の資源ビジネスになる」(夫馬氏)

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現状、月に行くためには往復の燃料を積んでいく必要がある。しかしそれらを現地調達できるようになれば積み荷は大幅に軽減される。

現在、小型ロケットの中で、重量あたりの打ち上げ費用が世界で最も高いと言われる日本のJAXAロケット「イプシロン」の積載量は600kgで、打ち上げるのに55億円がかかる。運搬委託費は1kgあたり約1億円とも言われ、1リットルのペットボトルの水を打ち上げるのに1億円がかかるわけだ。

もちろん、月への長期滞在や将来的な移住を考えれば、飲料水や酸素を作るための大量の水が必要不可欠であることは間違いない。2040年頃には月にコロニーができておよそ1000人が“定住する”ようになるだろうと予測されているが、それには水の発掘は必要不可欠である。

この水を現地で発掘できれば、“大儲け”できるというのが世界各国の月資源開発ベンチャーが必死になっている理由である。

日本の月開発は世界から後れをとる

では、日本は何をやっているのか。

月面に飛び降りるアポロ16号のジョン・W・ヤング宇宙飛行士

「残念ながら、日本の月開発は大きく後れを取っています。JAXAが2021年の月面探査ローバーの打ち上げを目指しているというレベル。世界との差は歴然です」(夫馬氏)

米国、ロシア、EU(ルクセンブルグが中心地)、中国、インド、イスラエル……。世界で民間主導の月開発ミッションを先導する国のリストだ。そこに日本の名前はない。米国NASAはおよそ10年前に方針を大きく転換。自前主義をやめ、民間企業を支援するスタイルに変えた。

宇宙開発には大きく分けて、ロケット事業、衛星事業、資源開発事業の3つがある。米国は3事業ともに民間企業が成長している。