投資の神様・バフェットはなぜ「株価の下落」を喜ぶのか

「みんなが売りたいときに買え」
大原 浩 プロフィール

ガソリンの値段が上昇して喜ぶか?

バフェットは、自社株買いをしている企業だけでは無く、すべての企業において株価が下落することを喜ぶ。これから購入しようとする株はもちろんだが、すでに保有している企業の株価が下がっても大喜びする。

なぜなら、冒頭で述べたように、株価が下落しても「企業の本質的価値」は一切変化しないからである。

多くの投資家が追いかけているのは「価格」であって、実態の無い単なる数字である。そのようなものと格闘しても儲かるはずが無いというのがバフェットの基本的な考えである。物の価値がわからないのに、そのもの(株式)の価格が妥当(あるいは高いか安いか)などということが分かるはずが無い。

バフェットが日夜研究しているのはあくまで(企業の)「価値」である。スクリーン上で点滅する価格などめったに見ない。

 

再び「バフェットからの手紙」からこの問題に関するエピソードを引用する。

★これからネットの買い手になる投資家も含めて、大概の投資家は株価が上昇するのを見て喜びます。このような投資家は、マイカー通勤をしている人間が、ガソリンタンクが満タンだからといって、ガソリンの値段が上昇するのを喜ぶようなものです。

ガソリンタンクが空になれば、次のガソリンを買わなければならないのですから、ガソリン価格が下がることを喜ぶべきなのは、誰の目から見ても明らかです。

投資家も同様です。ネットの買い手であれば、生涯を通じて、株を売ることよりも株を買うことの方が多いのですから、安く株を買うことができるのを喜ぶべきなのは当然です。

ちなみに、普通の人の産まれた時の株式の保有はゼロであり、死ぬときはうまくいけばいくらかの株式を資産として残せる。つまり、人生ではネットの株式の買い手であるということだ。

〈なお、「バフェットからの手紙」はバークシャーHPでごく初期のものを除きすべて公開されている。英文だが、2013年と2014年については重要な内容が多数含まれているので、筆者がキンドル版で日本語の解説書を出している〉