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投資の神様・バフェットはなぜ「株価の下落」を喜ぶのか

「みんなが売りたいときに買え」

株価下落でも「企業の本質的価値」は変わらない

バフェット流の神髄を理解するためには「企業の本質的価値」について理解しなければならない。有名な「バフェットからの手紙」でも毎年議論されている(2013年版、2014年版で特に詳しく述べられている。また、自社株買いに関しても重要なことであり、その点に関しては当サイト2月27日の記事「2019年版『バフェットからの手紙』が教える長期投資の極意」で詳しく解説している)。

極めて重要な問題にもかかわらず、バフェットの盟友でバークシャーの副会長であるチャーリー・マンガーとの間でさえ意見の一致を見たことが無いという論議の多いテーマでもある。

しかし、バフェットの「企業の本質的価値」に対する考え方は極めてシンプルである。その考え方を理解してしまえば、なぜバフェットが、世間の大部分の人々がパニックに陥って投げ売りしていたときに、沈着冷静に割安の株式に投資し、巨万の富をさらに増やしたのかが、すっきりとわかる。

バフェットの言葉を借りれば、多くの投資家は企業(の本質的価値)に投資するのではなく、株券(現在は電子化されているが……)という紙きれに投資しているから成功できないのである。もっと言えば、株券という紙きれの「値段=価格」を毎日眺めるのは単なる時間の無駄にしか過ぎない。

バフェットが企業の本質的価値を検討するときに企業の決算書などの財務指標を確認するのは当然である。20代の頃、師匠であるベンジャミン・グレアムの教えに忠実であった時代には、師匠同様、決算書の内容をかなり重視していた。

ただし、グレアムが名著『証券分析』でかなりのページを割いて説明しているように、企業の会計操作は日常的に行われている。

上場大企業でも粉飾決算は珍しく無く(東芝などの事例を思い出していただきたい)、その数字を無防備に信じるべきでは無いことは明らかである。

また、日本に限らず米国の会計制度そのものにも常に欠陥があり、ピーター・ドラッカーが「新入社員が1年も会計を勉強すれば、企業の損益を『合法的に』操作することなどいとも簡単だ」という皮肉を述べているくらいである。

 

決算書の内容が信頼できないのであれば、バフェットは何を基準に「企業の本質的価値」を見極めているのだろうか? それは「ブランド力」と「仕入れ力」を中心とした4つの視点である。

この4つのポイントについては、当サイト2018年11月14日の記事「投資の神様バフェットが最も重視した『企業を見抜く4つの視点』」ですでに詳しく述べているのでそちらを参照していただきたい。

例えば、1000万円以上はする最高級のレクサスをイメージしてみよう。市場でどのような値段がつこうと、レクサスの乗用車としての価値は変わらない。例えば、不景気になって販売が伸びないため値引きをしていたら購入のビッグチャンスである。たぶん、そのようなことは無いだろうが、100万円で売っていたら有り金はたいて、買えるだけ買うべきだろう。

バフェットのやり方もまったく同じである。バフェットが、「本質的価値」が1株あたり10万円だと算定した企業が、1株1万円で売られていたら躊躇なく買うのである。リーマン・ショックだろうが、バブル崩壊であろうがそんなことは関係ない。

1000万円のレクサスが100万円で売られるのは現実的ではないが、本質的価値10万円の株が1万円で売られることは皆無ではない。半値や3分の1程度で売られるこも意外によくある。そのチャンスを見逃さないのがバフェット成功の秘訣である。