少数派になるくらいなら……?
2月18日夜、東京・白金台の中国料理店で、岸田文雄政調会長主催の会合が開かれた。安倍総理、根本匠厚労相、野田聖子氏ら9人が参加したこの会は、「自民党'93年初当選組」の同期会で、1年に1〜2度開かれている。
今回は名物のフカヒレ料理に舌鼓を打ちながら、3時間にわたり行われた。注目すべきは、出席者の一人から漏れた、当日の以下のやりとりである。
安倍総理「次は出ないよ。岸田さん、総裁選に出るんでしょ」
岸田氏「…………」
野田氏「私も(総裁候補に)いる」
林幹雄幹事長代理「4選もあるんじゃないか」
ここで政治記者たちが着目したのは、二階派の「番頭」・林幹雄氏の「4選」発言である。連続3期9年の党則を改正し、次期総裁選後も、安倍総理が続投するというのか。
これは「親分」の二階俊博幹事長からのメッセージである。実はこの8日前の2月10日、二階氏本人が囲み取材で重大な「オフレコ」発言をしている。
「安倍総裁の任期も終わりに近づき、参院選を終わると求心力はどうだろうか」という記者の問いに対し、こう発言しているのだ。
「私は、総裁にさらに頑張っていただきたいという声が出てくると思う」
明らかに「安倍4選」支持の発言である。2週続けて発せられたメッセージを、ある自民党幹部は、二階氏から麻生太郎氏と「総裁候補」岸田氏への牽制だと語る。
「二階氏との対立が続く麻生氏は、もともと『大宏池会構想』として麻生派・岸田派の合併を目論み、岸田氏を総裁候補に担ぐ可能性も高まっている。すると有力な後継者がいない二階派は、少数派に転落です。
あえて安倍総理への絶対支持を誓うことで、麻生・岸田の両氏がどう出るか、様子を見ているのでしょう」
腹を探り合いながらのフカヒレの味はどんなものだったのだろうか。
「週刊現代」2019年3月9日号より