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パナソニック社長の「今のままでは10年も持たない」発言、その真意

27万社員に大激震が走った
週刊現代 プロフィール

イメージが掴めない

日経新聞のインタビューに、津賀氏はこんなエピソードを話している。

〈米国の店に行ったら消費者がうちのプラズマテレビとティッシュとバナナを同じワゴンに入れて買っていた。

『テレビが安いからプールサイドかガレージで使うんや』と。開発者はホームシアターとしてリビングで使ってもらおうと高画質にしているのに。

アホらしくてやってられるか、と思った。日本メーカーがなぜ世界を席巻する商品を出せていないか。答えは単純だ。日本のお客様の声を聞いてきたから〉

 

パナソニックに限らず、日本の老舗家電メーカーは高級・高性能を追求したモノ作りが自慢だった。だがいまや、国内消費者の声に合わせて商品を出しても売れない。
パナソニック技術系中堅社員はこう言う。

「津賀社長の言うことは間違ってはないんです。高級で高性能な製品を作るために、この会社はどれだけの時間とカネをかけてきたか。しかも、発売して半年もすれば似たような他社製品がズラリと店頭に並ぶんです。

昔から言われていた『ブラックボックス技術』が、商品開発の分野では限界に来ています。

ただ、社長には何か考えていることがあるのかも知れませんが、現場はそのイメージが掴めない。いまのパナソニックは不採算事業の見切りが早く、2年も赤字を続けたら即撤退です」

家電量販店に行けば、パナソニック製品とほとんど見た目の変わらない海外製品が、3分の1くらいの値段で販売されている。一方で高級路線では、ダイソンなどのスタイリッシュで性能も高い掃除機や空気清浄機に市場を奪われ続けている。

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〈少しでもアップグレードした商品を出せば日本メーカーがみんなへたるから、自分たちだけは頑張れるという意識は残っている。これでは何も変わっていない。お客様から見れば一旦選択肢が減るだけで、結局ダイソンやアイリスオーヤマが出てくる〉

こうした国内市場の現状を重く受け止めた津賀氏の次なる構造改革には、2つのテーマがある。

ひとつは更なる「海外進出」だ。とはいえ、家電は売れない。そこで手を組んだのが、イーロン・マスク率いるテスラ社だった。両社は'14年6月、共同で米ネバダ州にリチウムイオン電池工場「ギガファクトリー」を設立、約1800億円を出資した。

ところが昨年、テスラは新作「モデル3」の納期遅れやマスク氏自身の失言問題により大揺れ。パナソニックにとっても経営リスクとなった。