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「ファミマこども食堂」の可能性と限界、その見極め方

企業の社会貢献の歴史から考える
今年2月、「ファミマこども食堂」をめぐって賛成派と反対派による激しい議論が勃発した。社会的起業やCSRを研究してきた東工大准教授・西田亮介氏の目からこの議論はどう見えたのか。民間企業が公共的なサービスを担う可能性と限界を、これまでの様々な理論の蓄積から考える。

何が問題になっていたのか

株式会社ファミリーマート(以下、「ファミマ」)が「こども食堂」を始めるという報道が、2月に物議を醸した。

2018年度に首都圏でトライアルをすでに実施しており、全国で「地域のこどもと保護者を対象に、参加者みんなで一緒に楽しく食事をするほか、ファミリーマート店舗のバックヤード探検やレジ打ちなどの体験イベントを通じて、ファミリーマートに関するご理解を深めていただく取り組みもあわせて実施」するという。

参加人数は一回約10人。小学生以下のこどもは参加料金100円、保護者(中学生以上)400円で、小学生以上は保護者の同意があれば一人でも参加可能とのことだ。

ここでは、ファミマこども食堂をこれまで出てきた議論を整理しつつ、ファミマがこども食堂に進出することの「意義」と「懸念」について考えてみたい。また、そこから敷衍し、企業の社会的貢献の可能性と限界についていくつかの理論を紹介する。豊かな議論の蓄積からは、ファミマこども食堂のような取り組みについて考えるヒントが得られるはずだ。

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まず、こども食堂とは何か。こども食堂は近年地上波のバラエティ番組でも取り上げられたりしたことでも近年注目されるようになってきたボランタリーな実践だ。こどもや地域住民が無償や安価で食事をとることができ、ボランティアや寄付で成り立っている。こどもの貧困対策や孤食の防止のみならず、地域交流の拠点としても期待されている。

総数は不明だが、自治体が補助金を創設したことも後押しとなって、2018年時点で少なくとも全国に2286ヵ所のこども食堂が存在するという報道がなされている。

最近ではこども食堂についてのボランタリーな実践のネットワーク化や、活動のなかで発生しうるリスク事案に対して適切な保険をかけるためのクラウド・ファンディングなども行われている

 

ファミマこども食堂が物議を醸した問題の所在はなにか。両者の代表的な言い分を見てみよう。

肯定側の代表的な論理は何をおいてもコンビニの店舗規模への注目だろう。ファミマは国内約1万6000店舗で展開し、今回基準を満たす店舗数が約2000店舗とされている。その中からファミマこども食堂への参加の可否はオーナーが決められるというから、実際の実施店舗数は不明だ。

しかし一方で、経済的な制約がこども食堂の規模拡大を阻害している(つまり、お金がないのでこども食堂を作れない)と指摘され、最近ではこども食堂をサポートするための助成金を用意する自治体も増えてきただけに、今回のファミマの取り組みに対する期待は大きいようだ。

他方、反対側の代表的な論客・藤田孝典は既存のこども食堂との乖離、低賃金労働強要の懸念、(おそらく国が国民の生存の権利を保障するという「生存権」を念頭に置いた)国家責任後退の可能性などを理由として挙げる。また別の原稿では、コンビニチェーン店の足元では非正規雇用や低賃金労働の問題が生じているとした上で、こども食堂云々よりもそちらを先に解決すべきだと主張する。