# 中国経済

米中貿易戦争のウラで、習近平が焦る「借金バブル」のヤバすぎる実態

企業と家計がバタバタと倒れる
中原 圭介 プロフィール

普通の不況では済まない

景気の失速を回避するための習体制の強い意思の表れだとはいえ、これらの債務が膨張する政策をこのまま続けていけば、その副作用によって中国企業の経営効率はいっそう下がっていくことになるでしょう。

 

すでに数年前の段階では、リーマン・ショック後の中国はGDPを1兆ドル増やすために企業部門だけで2兆ドル超の債務を増やす必要があったのですが、現在の中国ではGDPを1兆ドル増やすのに3兆ドルの債務が必要だという新たな試算が出ているほどなのです。

とりわけ債務比率が高い不動産、鉄鋼、金属、資源などの分野に属する企業の多くでは、債務不履行に追い込まれるという懸念が常にくすぶり続けています。

〔photo〕gettyimages

債務不履行の懸念は、民間企業に対してだけではありません。

民間企業の債務が22.1兆ドルとあまりに膨大なために見過ごされがちですが、家計の債務も6.6兆ドルに増加し、GDP比では49.3%と2年程度で10ポイントも急上昇しているのです。

北京や上海などの大都市では、共稼ぎの夫婦の収入の大半が住宅ローンの返済に回っているケースが珍しくはないということです。これでは消費が伸びるわけがありません。

中国で所得税を払っている人々は全国民の2%程度にとどまることを考慮すれば、所得減税に消費の押し上げ効果はないといえます。もっとも効果がある処方箋は、家計資産の多くを占める住宅価格を値上がりさせることですが、日本のバブル崩壊を精緻に分析している習体制が売買規制の緩和に踏み出せないのは当然のことでしょう。

中国の民間部門で膨張している債務は、世界経済にとって大きなリスクとなりつつあります。

債務削減を実行して6.5%の成長率に落ちるのと、逆に債務を膨らませて6.5%の成長率に落ちるのとでは、これからの世界経済の流れが大きく変わってきてしまいます。中国がこのまま無理をして景気の下支えを続けるようなことがあれば、1年~2年は景気の底割れを防ぐことができるかもしれませんが、次に来る世界的な不況が普通の不況では済まなくなってしまうでしょう。

中国のバブルが弾ければ、日本を筆頭にアジア諸国や欧州各国で経済が大打撃を受けるのはもちろんのこと、米国も相応の痛みを伴うことが避けられないでしょう。そういった意味では、私たちは米中貿易摩擦ができるだけ早く沈静化することを期待しなければならないと言えるでしょう。