# 中国経済

米中貿易戦争のウラで、習近平が焦る「借金バブル」のヤバすぎる実態

企業と家計がバタバタと倒れる
中原 圭介 プロフィール

最大の誤算

2017年10月の共産党大会を経て、習主席は目先の高い経済成長率を目指すよりも民間債務や地方債務、不動産バブルといった諸問題を解決するほうが先決だという姿勢を鮮明に打ち出しました。

〔photo〕gettyimages

当時の私は、強力な指導体制のもとで債務削減を推し進めることができれば、中国は経済のハードランディングを避けながら、ダメージが少ないシナリオを選択できるだろうと期待しておりました。

しかし、米中貿易摩擦による悪影響によって、金融引き締めや公共投資の削減を続けるのは困難な状況となり、今では債務が膨らむ原因となる金融緩和の拡大、公共投資や補助金の増額、個人・中小零細企業への減税など、債務バブルが崩壊しかねない方向へと進んでしまっています。

金融緩和の拡大策では、中国人民銀行は民間企業の資金繰りを支えるために、2018年に預金準備率を3回にわたって2.5ポイントも引き下げました。ところが、それでも倒産する企業が増え続けているということもあり、年明けの1月4日に預金準備率をさらに1.0ポイント引き下げると発表せざるをえなかったのです。

大手国有銀行の標準的な預金準備率は13.5%にまで下がり、計算上は1兆5000億元(1元=16円で計算すると24兆円)の資金が自由になります。おまけに政府の銀行に対する指導もあって、債務返済に苦しむ企業が新規の融資を受けられやすい環境整備が着々と進められているというわけです。

公共投資や補助金の積み増しでは、中国政府は2019年の鉄道投資を過去最高の8500億元(同13兆6000億円)まで引き上げる方針を固めています。

 

2018年は年初の計画より10%引き上げ8028億元に増額しましたが、2019年も非効率な鉄道投資が前年比で6%増額される見通しです。また、自動車や家電の販売促進策として詳しい政策は明らかになっていないものの、過去と同じように購入補助金を支給して消費を刺激しようという考えが浮上しています。

個人所得税などの減税では、2018年に当初の計画を上回る1兆3000億元(同20兆8000億円)の減税を実施しましたが、2019年にさらに減税額を増額するということです。

そのうえ、新たに中小零細企業向けの減税も決定し、本来の法人税率が25%のところ、課税所得が一定基準を下回れば5%や10%の優遇税率を適用するといいます。加えて、企業が負担する社会保険料率の引き下げも検討しているといいます。

中国の社会保険料の企業負担は世界でもトップクラスであるため、企業と個人の双方にとって実入りが増える話なのです。