あなたは「銀行員」であることをやめられますか

遠藤ペーパーが示した「地域商社」とは
橋本 卓典 プロフィール

今までの思考方法には活路なし

追い打ちは、昨今のフィンテックに象徴されるテクノロジーの進化だ。

預金送金決済、住宅ローン、担保と保証に過度に依存した融資など、誰でもできるトランザクションサービスは自動化の波が不可逆的に押し寄せている。結果、銀行でトランザクションサービスに従事していた人々の人件費を削減対象のコスト化していくことになる。

銀行内での人員の配置転換も対症療法に過ぎず、万の単位の銀行員を抱えるメガバンクを筆頭に銀行というビジネスモデルは、従来通りの思考では、限界を迎えようとしている。

端的に言わねばならない。長短金利差と規模拡大に伴うトランザクションサービスを戦略の中心に据えてきた銀行はもはや構造不況業種であり、そうした銀行は、もはや高すぎる銀行員の個々の給与を支払えなくなっているという現実だ。

2月12日に上梓した『捨てられる銀行3 未来の金融 「計測できない世界」を読む』で述べた通り、本当は支払えないはずの銀行員の給与額全体を稼ぎ出さなければならないという無理が、顧客を犠牲にしたり、極端にハイリスクな金融商品に手を出したり、金融庁を敵に回してでも収益目標を必達しようとする非合理的な金融サービスを世に送り出してしまうのだ。

例えば、投資信託の回転売買、アパートローン、カードローン、手数料の高い外貨建て保険、行政の怒りを買う恐れの高かった節税保険、仕組み債、海外の低格付け企業に高い金利で融資するレバレッジドローンなどは、すべて同じ理由から始まっている。

目で見えない、計測できない世界が壊れ、顧客や社会よりも、組織や仲間に迷惑を掛けてはならないという同調バイアスが組織で優先され、普通の人が悪の道に陥ってしまう「ルシファー・エフェクト」が暴走していることに他ならない。

では、銀行には「銀行員の大量失職時代」といういばらの道以外に、持続可能な活路はもはや残されていないのか。

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