平昌五輪銅メダルから1年。ロコ・ソラーレの地元、北見・常呂は今

ウィンタークイーン、律子ママ…
竹田 聡一郎 プロフィール

スナック「りつこ」

北見市内の商店や飲食店、いたるところに「銅メダル獲得おめでとう」や「頑張れ、ロコ・ソラーレ」といったポスターや横断幕はあり、選手のサインが入ったものも珍しくない。しかし、街を歩いていても現在もカーリングを継続して応援しているのか、カーリングが定着したのかといえば確信は持てない。

そんな漠然とした不安を払拭してくれたのは、ふらりと立ち寄ったスナック「りつこ」の律子ママだった。

聞けばママは、仕事がらみの知り合いと16年の夏、前述のカーリング体験のために十数人で常呂のホールに行ったことがあるらしい。時期的には世界選手権で銀メダルを獲得した数ヵ月後だ。

「本当に運が良いことに、氷の反対側でロコ・ソラーレのみんなが練習してたのよ。体験カーリングに参加していたメンバーの中の一人が選手と顔見知りで、『じゃあ、ちょっと一緒にやりましょう!』となって、カーリング教わったのよ。今、考えると相当の贅沢よねえ。練習で疲れているんだろうけど、みんなずっと笑顔でいて、一気にファンになっちゃった」

下の写真の色紙はその時の記念らしく、店の壁に誇らしげに貼ってある。

律子ママ

律子ママが続ける。

「私はかなり幸運だったけれど、でも北見に住んでいれば、やっぱり地元だしみんなちょっと繋がりは持っているのよ。同じ焼き肉屋で居合わせたことがあるとか、カフェで見かけたとか。お客さんともそんな話をするけれど、彼女たちは写真やサインをお願いすると、『いいですよー』っていつも笑顔で対応してくれるんです。悪い話は聞いたことないです。北見中がカーリングファンになったと思いますよ」

これも大げさな喩えになるが、大阪で「昨日、いいゲームだったな」といえば阪神の結果。そんなふうに、北見でもロコ・ソラーレとカーリングはある意味で共通言語になりつつあるのかもしれない。

誇りを植えつけようとしている

翌朝、「赤いサイロ」を販売する清月本店(北見市北一条西1丁目10)に寄ってみた。朝9時半の開店前、氷点下で雪もちらつく中、20人前後が列を作っていた。

清月本店には今もなお行列が続く

「静岡に住んでいる親戚に贈ってあげるの」という市内出身の60代女性は、こうも言う。

「北見のことなんて日本のほとんどの人が知らなかった。でもオリンピックで知ってもらえたでしょう。それが嬉しい。カーリングのルールは分からないこともあるけれど、ロコ・ソラーレは応援しています」

あれから1年、フィーバーとブームは去った。でも、そのフィーバーとブームは、小さな種となって常呂町に来訪者を呼び、北見市民に誇りを植えつけようとしている。

ロコ・ソラーレの創設者である本橋麻里が、口癖のように言う言葉がある。

結果から何かを学ぶのではなく、その結果が出た後にどう動くか

カーリングの町、北見市と常呂町はブームをブームで終わらせずに文化に育てることができるのか。こちらも引き続き、強い興味を持って見守ってゆきたい。

(写真・文/竹田聡一郎)