常呂町にも流氷寄せて

平昌五輪銅メダルから1年。ロコ・ソラーレの地元、北見・常呂は今

ウィンタークイーン、律子ママ…
日本中の話題をさらったカーリング女子チームの平昌五輪銅メダル獲得から、早くも1年が過ぎた。チームの地元、常呂・北見は今どうなっているのか? ウインタークイーンとは!? スナック「りつこ」に潜入!? ロコ・ソラーレ代表理事・本橋麻里さんの著書『0から1をつくる』(講談社現代新書)の構成を担当した、カーリングライター・竹田聡一郎氏が現地レポートする。

「この町じゃなきゃ夢は叶わなかった」

およそ1年前、2018年2月末のことを鮮明に覚えている人はどれだけいるだろうか?

平昌五輪で日本カーリング史上初の五輪でのメダル獲得という快挙を果たしたロコ・ソラーレ(当時の表記はLS北見)は、韓国から羽田空港に帰国した後、駆け足で在京のテレビ各局生放送を巡り、夕刻の便で故郷の北見に戻った。

サードを務めた吉田知那美は、常呂町のホームリンク「アドヴィックス常呂カーリングホール」にて遅い時間に始まった報告会で、涙ながらに語った。

「正直、この町、何もないよね。小さい頃はここにいたら夢は叶わないんじゃないかと思ってました。でも今は、この町じゃなきゃ夢は叶わなかったなと思う」

あのスピーチから、1年が経つ。

世界のトップを目指しての再始動、本橋麻里の選手休養、チームの法人化、新設されたW杯第2節での勝利、「そだねー」の流行語年間大賞獲得、日本選手権での準優勝etc……。

今季も多くの話題を提供してくれたロコ・ソラーレだが、彼女らの「何もない」地元はカーリングやチームに対して今、どんな気持ちでどんなアクションをしているのだろうか。酷寒の常呂町と北見市内を巡ってみた。

ホタテ、玉ねぎ、流氷

2月下旬の常呂町、「ところ常南ビーチ海水浴場」は、アムール河口から1000km以上もの旅をしてきた、流氷で埋め尽くされていた。内地の人間にしてみれば壮観なのだが、海岸には誰もいなかった。

気温はたったの1度。オホーツク海から吹き付ける風は冷たく、痛い。

それでも町の人によれば、「異常と言っていいほど温かい。雪も少ないし、この冬は過ごしやすいね。ちょっと早めに春の備えをしなくちゃ」とのことだ。名産の玉ねぎやじゃがいもの種と苗、ホタテは「地まき」と呼ばれる稚貝を撒く作業の、それぞれ準備が必要らしい。

そして近年、ホタテやじゃがいもに代わって町の主役に躍り出たカーリングホールに足をのばしてみると、平日の午後だというのに、6シートのうち半分が埋まっていた。北見工大のカーリング部のほか、カーリング体験をしに来た観光客の姿もある。

ホールには体験参加者も多く見られる

ホールのスタッフによると、「五輪以降、飛躍的に来館者が増えた」。確かにロコ・ソラーレのホームアイスである同館でカーリング体験というのは夢がある。

野球で言えば、ヤンキースタジアムでキャッチボール、サッカーで言うとカンプ・ノウでパス交換……と喩えるのはさすがに大袈裟だが、構図としては類似しているのではないか。

女子チームの最高位「ウィンタークイーン

カーリング体験は電話予約が必要で、1名から受付可能。10名までは講師が1人ついてくれて一律、1時間2000円だという。それに加えて、シート(カーリングのプレーエリア)の使用料(1時間1400円)が必要らしい。レンタルシューズとブラシセットは140円だ。

つまり1人で1時間体験しても3520円、10人だと一人あたり460円と、格安でカーリングが楽しめる。運が良ければロコ・ソラーレロコ・ステラ(ロコ・ソラーレのセカンドチーム)を始め、国内トップチームが練習しているケースもあり、ネイティブの「そだねー」を隣のシートで聞ける可能性だってあるのだ。