あの有名企業に勤めながら副業している人たちに話を聞いてみた

実際、そんな時間はあるんですか…?
島影 真奈美 プロフィール

副業で他企業のプロダクトマネージャーを務める

そんな同社では、育児休業をきっかけに、副業を始めた人がいる。

2010年に新卒でDeNAに入社した加古萌さん(33歳)は2度の産休・育休を経て、昨年5月に復帰。現在は、DeSCヘルスケア事業本部 サービス企画開発部部長として働く傍ら、副業として株式会社uni'queで、オリジナルネイルが作れるアプリ「YourNail」のプロダクトマネージャーを務める。

「もともと知り合いが立ち上げた会社で、1ユーザーとしても好きなプロダクトでした。

株式会社uni'queは『複業でないと働けない』(ママ業や学業も“業”と考え、子どもがいる女性は全員働ける)というポリシーがあり、創業者の『女性の感性を活かしたビジネスを創出したい』という思いに共感していました。

ちょうど育児休業に入ったタイミングで少し時間があったこともあり、創業者に自分からコンタクトをとったのがきっかけです」

副業での経験は本業に還元している

本業ではヘルスケア分野、副業ではビューティ分野の「プロダクトマネジメント」に携わる加古さん。「ターゲットとするユーザーやチームサイズ、意志決定の方法、製品のコアバリュー、世界観に至るまですべてが異なるため、そこでの体験はまるで違う」と語る。

ただし、「プロダクトの価値を磨き込み、最大化させるという点においては向き合い方は同じ」ともいう。

「それぞれのプロダクトに対し試行錯誤を繰り返す中で得られた知見を、双方に還元できるのはやはり魅力です。また、私にとっては、自分が好きな『YourNail』というプロダクトに主体的に関わること自体が、わたし自身の幸福度を高めるのに役立っているとも感じています」

これらは、数ある副業の中でも幸せな一例に過ぎないのかもしれない。だが、肩に力を入れることなく、副業による複層的なキャリアを紡ごうとしている好例だった。

 

業務委託は可、雇用契約は不可が多い

さらに副業制度導入企業のコメントを追記しよう。

ソフトバンクにおける副業の許可基準は「大きくは①本業に影響を与えないこと、②本人のスキルアップにつながることの2点です。なお、他社との雇用契約を結ぶものなどは認めていません」(ソフトバンク広報)。

エイチ・アイ・エスも同様に、複数の企業と雇用契約を結ぶ「二重就労」は不可。つまり、個人事業主や業務委託として働くことはできるが、雇用契約を結ぶアルバイトは対象外となる。

「長時間労働や過労により、健康を害する恐れがある場合は不可。体調管理の維持に支障がないかどうかも、直属の上司と話し合い、許可を得た上で所定の届出書を会社に提出する形になります」(エイチ・アイ・エス広報)

こうした制約条件がつくとなると、副業の選択肢はずいぶん狭まるような印象を抱くが、両社によると副業内容は、セミナー講師や執筆活動、アプリのプログラミング、ウェブデザイン、スポーツインストラクター、カメラマンやヨガ講師など多岐に渡る。

副業したいと考えている人は約4割

人々の副業・兼業に対する関心は高まっている。

総合人材サービス・パーソナルグループの調査会社であるパーソナル総合研究所が今年2月に発表した調査結果によると、「正社員で現在、副業をしている人」は全体の10.9%にとどまったが、今後副業をしたいと考えている人は全体の41%。副業したいと考えていない人(33.1%)を上回る結果となった。

労働政策研究研修機構が実施した「多様な働き方の進展と人材マネジメントの在り方に関する調査」(2018年)においても、今後5 年先を見据えて副業・兼業の実施に積極的な人(「新しくはじめたい」「機会・時間を増やしたい」と回答)は37.0%と全体の 4 割弱を占めていた。

およそ4割の人が副業を検討している。それがポジティブな考えによるものなのか、危機感によるものなのかわからないが、副業・兼業を徐々にしやすくなってくるだろうことは確かだ。

言うまでもないことだが、誰しもが副業をしなければいけないわけではない。そもそも、できない環境にある人もまだまだ多い。だが、選択肢があるのなら、一度は真剣に検討してみてもいいのかもしれない。