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米朝会談の陰でアメリカ「対中強硬論者の父」が突然の豹変のナゾ

日米専門家らも驚愕、その真意は?

ペンス副大統領の「反中演説」立役者が突然…

世界の耳目が2月27~28日にベトナムの首都ハノイで開催された米朝首脳会談に集中したが、その直前の25日に米国の首都ワシントン市内で開かれたセミナーに注目した米メディアはほとんど皆無だった――。

保守系シンクタンクのハドソン研究所(ケネス・ワインシュタイン所長)で開催された「自由で開かれたインド太平洋戦略」と題したセミナーである。

同研究所の名前を聞けばピンと来る方が多いと思うが、昨年10月4日、マイク・ペンス副大統領が行った40分に及ぶ演説は、その余りにも激しい中国批判に終始したため、大きな波紋を呼んだ。

 

いわく「中国は政治、経済、軍事的手段、プロパガンダを通じて米国に影響力を行使し、我が国の国内政策や政治に干渉している」。

いわく「中国政府は『中国製造2025』を掲げ、21世紀の経済の覇権を握るために、あらゆる手段を用いて米国の知的財産を手に入れるよう指示してきた。最悪なことに、中国の安全保障に関わる政府機関が『窃盗』の黒幕だ。そして盗んだ技術を用いて民間技術を軍事技術に転用している」。

いわく「中国はここ数年、自国民の統制と抑圧へと急激に方向転換した。今日の中国は、米国の技術をもしばしば用いながら、他に類を見ない監視国家を築いている」。

こうした対中強硬演説に極めて大きな影響力を及ぼしたのが、同研究所のマイケル・ピルズベリー中国研究センター長である。歴代政権の中国政策に大きな影響を与えてきた人物として知られる。

対中強硬主張を繰り広げてきたマイケル・ピルズベリー氏(Photo by GettyImages)対中強硬主張を繰り広げてきたマイケル・ピルズベリー氏(Photo by GettyImages)

そのピルズベリー氏が、何と「自由で開かれたインド太平洋戦略」と題したセミナーで、「almost meaningless in a strategic sense, rhetoric to provoke China into a much stronger and assertive reaction than we ever expected. So that’s the second point. Be careful what you wish for」(戦略的に空虚でほとんど無意味なレトリックで中国を刺激しかねないことに十分注意すべきであり、<中国が>何を求めようとしているのか、よく考えるべきだ)と語ったのだ。

おいおい待てよ、あなたが、ペンス副大統領に米国は「自由で開かれたインド太平洋戦略」に対し強くコミットすると言わせた張本人ではないのか?

この日のセミナーにはトム・ローズ副大統領首席戦略官、そして日本から兼原信克官房副長官補(国家安全保障局次長)がパネリストとして参加、それぞれが同戦略を高く評価する発言を行うなど日米のスタンスはおおむね一致していた。

それだけにピルズベリー氏の予期せぬ”変心”にセミナー参加者は驚愕したというのだ。

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