# 経営者

いつものワインを「1本数百万円の味」に変える飲み方のコツ

フィラディス・石田大八朗社長に聞く
夏目 幸明 プロフィール

「何とも言えない違和感」

ファインワインの輸入で気をつかうのが輸送と検品です。ワインは熱に弱いので、夏は絶対に動かしません。日本に到着したら一本一本確認します。

創業当初は私が確認作業をやっていました。不思議と、残念なワインには、残念なオーラがあります。例えば白ワインは熟成によって褐色化しますが、保管された年数の割に色が濃ければ熱劣化の可能性が疑われます。

沈殿物がパウダー状であればいい熟成、でもゴツッとした感じがあったら熱か光の影響を受けた可能性があります。最近は偽物もあり「この蔵のラベル、こんなにテカッてた?」と感じることもあります。

難しいのは……最初は「何とも言えない違和感」しかないのです。ただし、理由を考え、言葉にするのは難しくとも、この不安感がよく的中するのです。

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当社は「日本に成熟したワイン文化を根付かせたい」と考えており、ネットで「クオリティーワイン」(一本数千円だが品質が高い商品)も販売しています。

私自身が世界を回って「この銘柄を仕入れよう!」と100本くらい選んできても、営業担当が「これは売れる」と選んでくれるのは1~2本と、それくらい厳選したものばかりです。よければ当社名で検索してみてください。ワインの知識も得られるサイトになっていますよ。

4月からは「ビコーズ」という自社ブランドも展開します。こちらは低価格な上に、ワインを学べるつくりのラベルになっていて入門に最適です。

クオリティーワインを求め葡萄畑を見る石田大八朗社長。たとえ美味でも、生産者を訪ね、栽培や醸造に共感しなければ輸入しない

最後に、ワインの味わい方で、あまり一般の方が注目されず、でも非常に大切な要素をご紹介させてください。それは「余韻」です。最初の一瞬の香りだけなら香料でも出せますが、それは持続しません。一方、飲みこんだ後の香り、長さといった余韻は嘘をつかないのです。

 

ワインはどこか人間と似ています。パッと見はごまかせても、余韻に本来のポテンシャルが現れてしまうのです。活かし方次第であることも人と似ているかもしれません。料理とのマリアージュ(相性、元は「結婚」の意味)がよいと、数千円のクオリティーワインが、高価なファインワインに劣らないバランス・余韻を感じさせてくれますよ。

ご興味あれば、ぜひお試しください。ここだけの話、主要な葡萄の品種と産地の特徴を知り、様々なマリアージュを自分で試しておけば、充分「通」になれて、会話が弾むこと請け合いです。

石田 大八朗/「株式会社フィラディス」代表取締役
'72年、鹿児島県生まれ。明治大学商学部を卒業し、飲料メーカーの外食事業部に入社、その後、ワインの魅力に惹かれフレンチレストランへ転職。退職後にカリフォルニアのワイナリー等で勉強し、帰国後、ワイン輸入商社を経て、'03年にフィラディスを設立。代表取締役社長に就任し、以来現職

『週刊現代』2019年3月9日号より