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いつものワインを「1本数百万円の味」に変える飲み方のコツ

フィラディス・石田大八朗社長に聞く
適正な温度・湿度で熟成を重ねたワインからは、まるで花畑にいるような香りがし、長い余韻が残るという。これら、1本数万円、時には数百万円もの値がつく「ファインワイン」の輸入で日本一のシェアを持つのがフィラディスだ。創業社長で、ワインに関する知識は日本随一と言われる石田大八朗氏(46歳)は、高級料理店勤務時、洗い場でお客さんの飲み残しのワインをテイスティングし、その味を確かめたこともある情熱溢れる人物だ。

ワインはすべて「一期一会」

ファインワインの市場には、例えば「ワインの収集家が亡くなって奥さんがストックを放出した」とか「レストランがオーナーチェンジで貯蔵庫のワインを出した」など様々な理由で商品が出てきます。

この中から、日本の高級レストランに届けるべき商品を選ぶには、膨大な知識のストックが必要です。ワインは熟成期間が長ければいいわけでなく、香りが「開いたり、閉じたり」を繰り返します。

だから我々は「何年のこの品種なら香りが開いているはず」などと瞬時に判断する必要があるのです。なぜ瞬時かといえば、すべての商品が一期一会で、数分後に返信したら売り切れ、といったこともある世界だからです。

 

ワインの虜になったのは、飲食店で働いていた時に「お客様に提供するなら知識を身につけたい」とワインの勉強を始めてからです。好きが昂じて高級店に転職し、洗い場で働いている時、私の思いを知っている先輩たちが「もうすぐこういう銘柄のワインが下がって来るぞ!」と教えてくださったことが今も忘れられません。

個人的な感覚ですが、男性はワインを知りたいと思ううちに虜になる方が多く、女性は「この一本を飲んだ時、私は花束を抱いたような気がした」といった劇的な出会いを果たす方が多いようです。まるで恋愛のようですね(笑)。

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今まで飲んだワインは、7万本くらいでしょうか。ただ数の問題でなく、一本一本と「向き合ってきた」ことがためになっています。「この香りはこの蔵特有のものなのか」「この品種はこんな香りも出せるのか」と、常にワインと対話しながら飲んでいたのです。

知識は独立時にも役立った覚えがあります。当時、私は「日本のワインの文化を花開かせたい」と言いつつ、仕入れの資金すらろくに持っていませんでした。しかしこの時、元々付き合いがあった有名ソムリエの方が「君が仕入れるワインなら信用するよ。ウチが買うから」と、先払いでお金を下さったのです。