# 世界経済

米朝破談のウラで進行する「アメリカの政治・経済リスク」の高まり

今後、財政支出は高まる可能性

世界経済を取り巻く環境が急速かつ大きく変化している。中国は減速懸念を払しょくできていない。一方で英国のEU離脱に関しては根本的な問題に変わりはないが、先行きを楽観する市場参加者が増えている。昨年10~12月期の米実質GDP成長率は予想を上回り、想定していた以上に米国経済がしっかりしているとの見方が増えている。

同時に、米国の政治リスクが急上昇している。トランプ氏に忠誠を誓い、尽くしてきたマイケル・コーエン被告の証言のマグニチュードは大きい。それは大統領への疑念、不信を高めた。この問題に対応するためにトランプ氏は米朝首脳会談を早く終え、帰国せざるを得なくなったとみる。コーエンの暴露は米国の政治に大きな波紋を投げかけたとみるべきだ。

 

コーエンによる暴露の衝撃

ハノイで開催された2回目の米朝首脳会談のポイントは2つある。一つ目は、米朝が溝を埋めることができなかったことだ。北朝鮮は制裁の完全解除をトランプ大統領に迫った。一方、米国は非核化へのコミットメントなしに制裁を緩和することはできないとの姿勢を崩さなかった。その結果、両国は合意文書を作成できなかった。

より重大な影響を与えたのが、27日に米下院にてコーエン被告が証言を行ったことだ。長年、コーエン被告はトランプ氏に忠誠を尽くしてきた。コーエンはトランプ氏の指示に基づいて議会で偽証を行うほど、同氏を信じ、尽くしてきたのである。その腹心の口から、驚くべき言葉が相次いで出てきた。

コーエンは“人種差別主義者”、“ペテン師”などとトランプ氏を批判したのである。かなり過激な表現ではあるが、この暴露は、米国のみならず国際世論が感じてきたトランプ氏への不安や、危うさなどを裏付ける内容だ。加えて、同被告は議会に、トランプ氏のサインの入った小切手のコピーや、恣意的に作成された可能性が高い財務諸表なども提出した。

トランプ氏にとってこの暴露は想定外だったはずだ。ハノイでの会見を終え大統領専用機に乗り込む同氏の表情には、不安と怒りが混在していたように見える。トランプ氏は“獅子身中の虫”がいたことに衝撃を受け、急きょ帰国し、議会や世論対応を優先せざるを得なくなっただろう。その結果、首脳会談の合意文書が作成できなかったと考える。

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