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いま一度する「米中貿易戦争」の正しい読み方~協議再延期を受けて

任期のあるトランプと任期のない習近平

「生かさず殺さず」という予定調和

2月24日、トランプ米大統領は、3月1日に予定していた追加関税の引き上げを見送り、「次に習近平・中国国家主席と会うことが出来るまで」交渉期限を延期すると述べた。

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トランプ大統領は2020年11月の中間選挙を見据えて「中国の不公正貿易に立ち向かう大統領」を演じたいはずであり、中国に対しては「生かさず殺さずの扱いを進めるはず」というのが既定路線であった。この点、今回の先送り(しかも期限の明記無し)は極めて予定調和な結果であったと言える。

文字通り、今回の決定は先送りであって市場の不透明感が払拭されたわけではないが、当面の懸念が払拭されたという節目でもあるため、米中貿易協議の現状と展望に関し整理してみたい(下図表参照)。

 

まず、当初の経緯を忘れている向きも多いと察するので簡単におさらいが必要だろう。

昨年来、トランプ政権は対米貿易黒字を抱える国々を主たる対象として矢継ぎ早に制裁を打ち出してきたが、当初から中国との対決色が全面に出ていたわけではない。まずは2018年2月に洗濯機・ソーラーパネルに対するセーフガードが発動され、ここでは中国と韓国が対象となった。翌3月、セーフガードは鉄鋼・アルミ製品に対しても発動されたが、ここでは国家安全保障を理由として全世界(一部を除く)が対象とされた。

その後の5月、自動車および同部品に対するセーフガードが検討され、270日間の調査を経て今年2月に米商務省から大統領へ報告書が提出されたことは大々的に報じられた。トランプ大統領はこの報告書に基づき輸入自動車に関税を賦課するか否かを5月17日までに決断することになっている。これもEUや日本への強力なカードとして注目されている。

ここまででも十分、先鋭的な保護主義対応なのだが、この時点ではまだ「中国狙い撃ち」の色彩は薄く、米中貿易戦争ないし米中貿易協議というフレーズもさほど耳にしなかった