体長18m! 夫婦が14年間守り続けた「インディーズ恐竜」の物語

「龍骨」を求める民との戦いの末に…
安田 峰俊 プロフィール

2005年には江北区で推定全長18メートルの、新種のマメンチサウルスの仲間とみられる化石が出土(大石壩恐龍)。

2009年には綦江区の山中で1000個あまりの獣脚類・鳥脚類・曲竜類などが混在した複数の恐竜の足跡が見つかっている。

さらに同年3月には南川区福寿郷で、5月には忠県双桂鎮で、それぞれジュラ紀後期の竜脚形類の化石が発見された。

マメンチサウルスマメンチサウルスの化石 Photo by Gary Todd / Flickr

往年の四川省から重慶市にかけての一帯は大型恐竜たちのパラダイスであり、加えて化石が保存されやすい地質的な条件が良好だったことから、これだけ多数の化石が見つかっているのだ。

ほかにもいた「護龍大爺」

ちなみに2017年5月の『化石網』報道によると、同じく重慶市黔江区の山奥にも「護龍大爺(龍を守るじいさん)」の異名を持つ70代の元小学校教員の老人がおり、1974年に発見された白亜紀の恐竜の地層を守り続けているという。

やはりこちらも、発見の一報が出た途端に地元の人が「龍骨」の採集に殺到したり、2006年には業者が地層を無視して開発工事を始めようとするのを必死で止め続け、近年ようやく専門家の発掘開始にこぎつけたという。

おそらく現地では、こうした心ある老人に守ってもらえなかった未知の恐竜の化石が、過去に人知れず仙薬にされてしまった例も多かったに違いない。

さておき、劉さん夫婦が人生をかけて守り抜いた宝峰龍の復元骨格は、2018年秋に開館した地元の永川博物館で展示されている。中国名物の箱モノ行政で、この博物館の展示敷地面積は公称9000平方メートル。宝峰龍の骨格は、前漢時代の伏羲・女媧の神話図や明時代の宝石と並ぶ、館内の目玉展示品となっているとのことだ。

重慶市の中心部から西に車で70キロというなかなか大変な場所にあるが、ご興味のある方はぜひ、すんでのところでリウマチ薬にならずに済んだ宝峰龍に会いに行ってみてほしい。

宝峰龍往年の夫と恐竜の思い出を語る呉さん。『化石網』より

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