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「売上トップ」のタクシー運転手に学んだビジネスで本当に大切なこと

「これ」を徹底してやりなさい
「人の行く 裏に道あり 花の山」。多数派とは違った考え方で行動すること、つまり「逆張り」の大切さを説いた、投資の世界で有名な格言だ。不動産コンサルタントで、著書『厳しい時代を生き抜くための逆張り的投資術』がある長谷川高氏は、誰とでも簡単につながれる時代だからこそ、いろんな人と会って、濃い人間関係を結ぶことを勧める。厳しい時代を生き抜くには欠かせないこの考え方について、長谷川氏が語った。

ビジネスは「売り七分」

「売り七分」という言葉をご存じでしょうか?

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どんなビジネスにおいても、その商品やサービスを売ることが非常に大事であり、商品やサービス本体の重要性は三分しかなく、「売り」=「営業」が七分、つまり非常に重要であるといった教えです。

要するに、全体の労力やマンパワーの7割程度を、営業にこそ割くべきだということです。

どんなにすばらしい商品やサービスを扱っていても、それを売る努力、つまり営業を、いかに力を入れてやるかが、業種に関係なくビジネス自体がうまくいくかどうかの分かれ目なのです。

不動産業界では、営業と同時に情報を仕入れる努力が同じように不可欠です。仕入れのための営業とでもいいましょうか。

この営業と、売るための営業に関して、お話しします。

現在は、ネットが普及し、広告や営業自体もリアルからネットへと大きく移行しています。これは不動産業界でも同じです。

アナログ的に一軒一軒飛び込むような営業手法は、もはや時代遅れなのかもしれません。

しかし、逆張り的発想でいえば、そういったアナログ的かつどろどろとした営業をする人や会社が減れば減るほど、場合によってはそれが大きな効果を生むのではないかと思います。

なぜならば、結局のところ、商品やサービスを買うのは、いつの時代もやはり生身の人間であり、この生身の人間の感情が動くことによってお金が支払われ、ものが動くからです。

かつて私がタクシーの運転手さんから聞いた話をしましょう。

ある日、私は青山ベルコモンズの前でタクシーを拾い、自宅まで帰りました。そのとき、運転手さんとの雑談の中で、「景気はどうですか」と質問をしました。私はよく、景気の良し悪しを判断するときに、定点観測ではないのですが、タクシーの運転手さんにこの質問をするのです。

そのときの運転手さんはこう答えました。

 

「会社としてはあまりよくないけれども、個人的には悪くないですよ」

「どういうことですか?」とさらに聞いてみると、その運転手さん自身が、所属するタクシー会社の営業所の中で成績トップだというのです。

次の日も違うタクシーに乗ったとき、その運転手さんに同じ質問をしたのですが、その人も、「タクシー会社の景気はよくないけれども、自分はトップの成績なので調子がいい」というのです。

なんと二日連続して、それぞれの会社のトップの成績を収める運転手さんの車に乗ったのです。

「どうやったらトップの成績になれるのですか? 何か特別な方法があるのですか?」と、私は二日とも同じ質問をしました。

すると、なんと二人の運転手さんの答えがまったく同じものだったのです。

「どこかで客待ちをするのではなく、とにかくぐるぐる動き回ることだね。それを徹底してやることだ」

私たちがよく見かけるタクシーの光景は、ホテルの横や繁華街のタクシー乗り場で長い行列を作って客待ちをしているものだと思います。

行列に並んで自分の順番が来るのをひたすら待っているという方法でも、ある程度はかせげるそうです。しかし、トップの営業成績を収めることはできないといいます。

どの時間にどのルートを行くかは、それぞれの運転手さんの技であり、それももちろん重要です。しかし、最も重要なのは「とにかく休まずにぐるぐる回る」ことだというのです。

私も飛び込み営業をサラリーマン時代にさんざんやってきましたが、いろいろ頭の中で考えるよりも、結局は、とにかく歩き回ってまずは飛び込んでみることが成果につながると感じました。

私はこの二人のタクシーの運転手さんがおっしゃったことに、「営業の要諦」があるのではないかと思いました。ぐるぐる動き回ること――つまり、毎日、いろいろな取引先に足を運び、人と会って話をすることです。