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「早い、安い、痛くない」常識破りの人間ドック、脳ドック最前線

「患者本位」で考えたらこうなった
竹内 謙礼 プロフィール

患者を待たせないための工夫とは?

もうひとつ驚いたのが、検査時間が非常に短い点だ。スマ鏡の検査は洗腸剤を飲む時間も短縮されるので、胃と大腸の検査を含めた人間ドックでも半日で終わってしまう。今まで2日間かけて人間ドックに通っていたのがバカバカしく思えるぐらいである。

しかし、それ以上にスタッフがスピーディでテキパキと動いてくれるので、待たされているほうもパッパッと検査が進むのでストレスをまったく感じない。従来の人間ドックのようにだらだらと検査が進むのではなく、医師や看護師が丁寧に応対してくれるので、気持ちよく検査を受けることができるのは、患者としては非常に嬉しいポイントといえる。

 

「人間ドックに来る人はみんな不安を抱えてきますからね。その不安を少しでも取り除くことも医療には必要だと思っています」

東京ベイサイドクリニックでは、スタッフのレベルを統一するために、ひとりひとりの応対や行動をストップウォッチで定期的に計測しているという。また、業務中はインカムをつけて常に院内に患者を待たせるようなことが起きていないか気を配る。そのような時間を意識するスタッフ教育の姿勢は、小売業、飲食業でも見習ってほしいところである。

スタッフはインカムをつけてスピーディな対応を心掛ける

なお、東京ベイサイドクリニックは平日だけではなく、土日祝も対応している。ららぽーとの中にある人間ドックということもあって、休みの日に買い物ついでに立ち寄る人も多いとか。

「ショッピングモールの中にあるせいか、40~50代の比較的若い患者さんが多いですね。時間を気にされる多忙なサラリーマンの方や、小さなお子様のいる主婦の方まで、幅広い方々に利用してもらっています。そういう人達が少しでもストレスなく来てもらえる人間ドックにしていきたいですね」

矢後先生の次世代医療モデルは、多くの患者さんの命を救うことに繋がるのは間違いない。

なぜ2万円以下で脳ドックが受けられるのか?

次にご紹介するのは脳ドックだ。「脳ドックって高いんじゃないの?」と思われるかもしれないが、これから紹介する「メディカルチェックスタジオ」は、なんと税別1万7500円というお財布に優しい脳ドックである。

この低価格の脳ドックを立ち上げたのが濱野斗百礼さん。大手IT企業に勤めていた頃、バスのネット手配の事業に携わった際に、運転手の脳血管疾患による事故の多さの現実を知ったのが、脳ドックのビジネスを起業するきっかけだった。

「脳ドックは検査料金が高くてバスやトラックの運転手が気軽に受けることができないんです。しかし、高い料金だからといって、たくさんの人の命を預かる運転手が脳ドックの検査を受けられなければ事故は永遠に減りません。そこで脳の検査を安くすることはできないかと考え始めたんです」

濱野さんは早速、病院に低価格の脳ドックビジネスの提案営業を始めた。しかし、健康な人を検査するほど脳の断面図を撮影するMRIは空いていないと医師に言われて、ことごとく断られる。結局、病院をいくらまわってもMRIを借りることができず、「だったら自分でやるしかない」と、濱野さんは会社を退職して、脳ドックの事業を起業することにしたのである。

事業内容に共感したドクターや支援者にも恵まれて、2018年1月に脳ドック専門の「メディカルチェックスタジオ」を銀座にオープン。税別1万7500円という検査料金は、相場が4~5万円となる脳ドックの業界で言えば、価格破壊と言ってもよい料金だ。しかし、どのようにすれば検査料金をここまで下げることができるのか。

「脳ドックに特化することで、着替えを不要にして稼働率を上げたんです。1時間で2人しか行えない検査を4人受けられるようにすれば、十分、この価格設定で事業は成り立ちます」