*写真はすべて著者提供/メディカルチェックスタジオの事務局の濱野斗百礼さん
# 医療

「早い、安い、痛くない」常識破りの人間ドック、脳ドック最前線

「患者本位」で考えたらこうなった
人間、40代になると何かしら体の不調が現れるもの。しかし、忙しさや金額の高さを理由に、各種精密検査を受けない人も少なくない。経営コンサルタントの竹内謙礼氏もかつてはそうだったのだがーー。ある出来事をきっかけに翻意した竹内氏が、「早い」「安い」「痛くない」人間ドック、脳ドックの最前線を徹底取材した。

人間ドック嫌いだった私が心変わりしたワケ

私は人間ドックが嫌いだ。苦しい胃カメラを飲まされたり、何リットルもの洗腸液を飲まされたり、病気でもないのに苦行のような1日を過ごさなければならない。

病院での待ち時間や検査時間が長いことも不満のひとつだ。私が以前通っていた人間ドックは胃カメラ、腸カメラ、脳ドッグあわせて2日間を要した。そのため、検査日は病院の近くのホテルに宿泊する必要があった。これは日雇いの経営コンサルタントにとって手痛い時間のロスと言える。しかも、その人間ドックの料金はホテル代込みで約15万円と割高だ。

一方、平均的な料金の人間ドックだと扱いが酷かったり、長時間待たされたり、あまり良い経験をした記憶がない。だからといって高い料金を支払った分の手厚いサービスが受けられるというわけでもない。結局は忙しさを理由に人間ドックに行くことから遠ざかってしまっていた。

その気持ちがガラリと変わったのは昨年の暮れのことである。同い年の知人が立て続けに心筋梗塞と脳梗塞で倒れて亡くなった。中年とはいえ48歳。まだ働き盛りの年齢である。しかし、気になって周囲の友達にも聞いてみたところ、死に至らないまでも、仕事中に倒れた経験のある友人が多いことが分かった。

人間ドックから逃げ回っている場合ではないと思いつつも、痛くて辛くて時間がかかる人間ドックにはやはり行きたくない。そこで、今回は自ら実験体となり、今話題の「早い」「安い」「痛くない」という人間ドックと脳ドックに行ってみることにした。

 

ラクチンな胃カメラ、大腸カメラの秘密

最初に紹介するのは千葉県船橋市にある「東京ベイサイドクリニック」。大型ショッピングモール「ららぽーとTOKYO-BAY」にある人間ドックだ。

「胃がんや大腸がんは早期発見が一番の予防策なんです。でも、内視鏡検査は痛くて辛いイメージがあるせいか、敬遠されがちなんですよ」

そう話すのは院長の矢後尋志先生。以前から人間ドックの利用者数増加が健康維持に繋がると考えていて、患者さんにストレスのない検査方法を模索していた。そして、自身が開業したことをきっかけに始めたのが、無痛無飲のスマート内視鏡、略して“スマ鏡”である。

東京ベイサイドクリニック院長の矢後尋志先生

「鎮静剤で眠っている間に胃カメラ検査を終わらせて、その胃カメラから小腸に洗腸剤を注入します。そうすることで大量の洗腸剤を口から飲まずに大腸カメラ検査も行えるようにしたんです」

実際、私もスマ鏡を体験させてもらったが、今までの内視鏡検査とは比較にならいほど苦痛とストレスがなかった。あっという間に鎮静剤で眠りに落ちて、その間に胃カメラの検査が終了。その間に洗腸剤が注入されるので、すぐに便意をもよおして腸をキレイにしてくれる。あの気持ち悪くて大量の洗腸剤を、飴玉を舐めながら飲み続ける苦行がなくなったことは画期的と言ってもいい。

さらに、その後の大腸カメラも鎮静剤で寝ている間に終わるので、こちらの検査にも痛さと辛さはまったくない。

しかし、ここで大きな疑問が湧いてきた。こんなにラクチンな胃カメラと大腸カメラの検査方法なのに、なぜ、他の人間ドックでは見かけないのか。

「鎮静剤を使ったとしても、未熟な挿入技術では大腸に限らずカメラを生体に無痛で出し入れすることは難しいんです。たくさんの検査を行い、さまざまな症例を実際に経験しなければ無痛無飲のスマ鏡を実施することはできないんです」

聞くによると矢後先生の2018年の内視鏡検査数は7600件超。この数は一般的な内視鏡医の数倍に値するらしい。そう考えれば、東京ベイサイドクリニックが「痛くない」「辛くない」で評判の人間ドックであることは、納得するところである。