歯学部・獣医学部でも実際にあった、口利きブローカーの話

どこまで広がっているのか…
原田 広幸 プロフィール

歯学部は偏差値30でも金で入れる

歯学部の場合は、もっと露骨だ。歯医者はコンビニよりも数が多く、競争が激しく経営が難しいと知られるようになって、人気が下がりつつある歯学部だが、それでも、歯医者の親はやはり、歯科医院を継がせたいと考え、伝統校、ブランド校の人気は高い。

だが、一時期よりは応募数が少なくなり、中堅以下の歯学部の学生募集が困難になっていることもあり、「金さえ積めば入れる」という状態になっているというのだ。

歯科医師は人員超過状態なので、厚生労働省主導による抑制政策が取られている。国家試験の問題を難しくする・合格基準を引き上げることにより、歯学部を卒業したものの、国家試験に合格できない学生も増加している。

 

以下の歯科医師国家試験(2018年)ランキングを見ていただきたい。なんと、歯学部29校中半数近くの14校が、国家試験合格率8割を切っている。それらの大学では、5人に1人が、歯学部を出たものの、歯科医師になれない、あるいは浪人しなければならない、という事態になっている。

歯科医師国家試験(2018年)ランキング
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歯学部は、医学部志望で医学部に落ちた受験生などへアプローチし、なるべく優秀な学生を呼び込みたいと必死である。

一方で、金払いのよい、しかし絶対に脱落しない学生も、入学させなければならない。したがって、歯学部では、優秀な学生への手厚い奨学金供与枠と、成績はイマイチだが、卒業生や関係者の師弟など、入学後の成績伸長を期待して「お金で入学させる」枠を併存させることになる。

歯学部では、入学願書(書類審査)、小論文、面接試験など、医学部と同じような、曖昧な採点基準を用いることができる入試科目が必須となっている。その試験(2次試験)の結果をうまく操作して、成績不振の学生も、何人かは合格させているという実情は、医学部の不正入試と同じ構造になっている。

英語の試験で「アルファベットのはじめから何番目の文字はなにか」とか、数学で「円周率を答えよ」とか、小学生でも答えられるような問題を複数忍び込ませて、頭が悪くてもある程度の点数を取らせるような工夫をしている大学すらある。

先にあげたブローカーのA氏は、やはり、多くの歯学部にも人脈を持っていて、偏差値30程度しかない生徒を歯学部に入学させたりしている。

今般の医学部不正入試事件が明るみになったのに対して、歯学部の情実入試の実態が表沙汰にならなかったのは、歯学部の不正入試で損をしている人は、だれもいないからではないかと推測する。

歯学部志望者は、あるどこかの歯学部に落ちても、ほかのどこかの歯学部が拾ってくれるという現状がある。不正入試によって数人が歯学部に入学していても、その分の割りを食って歯学部に入れなくなる受験生はほとんどいない。

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