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# 中国経済

「中国株の急上昇」を喜んではいけないこれだけの理由

政府主導の危険な景気対策

中国株急上昇の怪

米中貿易交渉で何らかの合意がなされるのではないかという期待感もあってか、主要国の景気動向は芳しくないものの、世界的に株価は堅調である。

その中でここ数日の上昇が際立っているのが中国である。

2月26日時点の主要指数でみた世界の年初来の上昇率は10%強であるが、中国(上海総合指数)は20%弱の上昇となっている。米国株(NYダウ)が年初来約11%強の上昇なので、中国株の上昇は際立っているようにみえる(ちなみに日経平均株価は8%弱)。

中国株に匹敵する上昇率を記録しているのは、新興国では、アルゼンチン(約18%上昇)ぐらいであり、以下、トルコ(約15%上昇)、エジプト(約14%上昇)、ロシア(約12%上昇)、ブラジル(約11%上昇)と続く。一方、先進国では、欧州諸国のいくつかで10%を超える上昇となっている(例えば、ギリシャが約13%、スウェーデンが約12.5%、スイスが12%強など)。

このように、今年の株価の動きは経済のファンダメンタルズとはほとんど連動していない。ただし、ここで取り上げた国の株価指数の昨年のパフォーマンスはどちらかというと逆に著しく悪かったため、単なる「下げ過ぎの反動」ということかもしれない。

ところで、中国に話を戻すと、景気動向は相変わらず極めて悪い。2月14日の当コラムからのアップデートでいえば、2種類ある製造業のPMI(景況観指数)の1月の数字はともに昨年12月に続き、50ポイントを割り込んでおり、景気減速局面を示唆する結果となっている。

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中国は消費も芳しくないが、1月の自動車販売台数は前年比-15.8%と減少幅は昨年12月からさらに拡大した。また、内需に連動する側面が強い輸入金額だが、1月は2月の春節前で駆け込み需要があったといわれる割には減少が止まらず、前年比1.5%の減少となった(昨年12月は7.6%の減少)。

このように中国経済の実情を示す信頼に値する指標の多くは、中国景気の急激な悪化を示唆している。だが一方で、かつては「中国経済の実情を示す」といわれた「李国強指数」を構成する経済指標はそれほど悪化していない。

 

「李国強指数」は、電力消費量、鉄道貨物輸送量、銀行融資残高の3指標で構成されるとされているが、昨年12月時点での数字は、それぞれ、前年比で8.8%、14%、13.5%の増加となっており、中国経済の堅調を示している。

この理由はよくわからないが、筆者は、鉄鋼製品の生産量(昨年12月時点で前年比9.1%増)に代表されるような素材生産の堅調に秘密が隠されているのではないかと推測する。

結論から先にいえば、政府の「指導」で資金が素材産業を中心に大量投入されて、GDPに代表されるような見かけ上の経済指標をかさ上げしているのではないかということである。もしそうであるとするならば、まさに「景気彌縫(びほう)策)である。

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