2018年(暦年)の国内販売ランキングは、1位がホンダN-BOX(少数のスラッシュを含む)、2位はスズキスペーシア、3位は日産デイズ&デイズルークス、4位はダイハツタントと続き、5位が日産ノートであった。デイズ&デイズルークスはボディの異なる車種を統合したから省くとしても、販売の上位は軽自動車で占められている。
しかもN-BOX、スペーシア、タント、デイズルークスは、すべて全高が1700mmを上まわり、後席側のドアはスライド式だ。背が高いために車内も広く、大人4名が快適に乗車できる。後席を畳めば広い荷室になり、自転車などを積むことも可能だ。
後席のドアがスライド式だから、電動開閉機能を装着すれば、乗り降りがしやすい。子供を抱えて荷物まで持っている時でも、スイッチでドアを開けてスムーズに乗車できる。車内の広さも含めて、ミニバンの機能を小さな軽自動車に凝縮させた。軽自動車の乗車定員は4名にとどまるが、それ以外の機能はミニバン並みだ。
これらの特徴が受けて、背の高い軽自動車は、子育て世代を中心に高い人気を得た。今では新車として売られるクルマの36%が軽自動車で、さらに軽乗用車の40%以上を全高1700mmオーバーの車種が占める。
また国内販売が1位のN-BOXは、この1車種だけで、国内で売られるホンダ車の30%以上に達する。N-WGNやN-ONEまで含めた軽自動車として見ると、ホンダ車の約半数を占める。
このように全高が1700mmを超えるスライドドアを備えた軽自動車は、今では日本で最も元気の良いカテゴリーだ。
ただしこれらの軽自動車は、背が高いために「ボディが重い」という大きな欠点を抱える。
全高が1550mmを下まわるスズキアルトなら、車両重量は売れ筋のSが650kgと軽い。全高が1600~1700mmの間に収まるスズキワゴンRハイブリッドFZでも790kgだ。
これが1700mmを超えるスズキスペーシアハイブリッドXになると870kgに達する。N-BOXのG・Lホンダセンシングは890kg、タントX・SAIIIは930kgだ。
全高が1700mmを超える軽自動車は、天井が高いだけでなく、スライドドアの電動機能、多彩なシートアレンジ、緊急自動ブレーキなども装着するから、車両重量が増えてしまった。
ボディの重い軽自動車では、動力性能が問題になる。軽自動車は税金が安い代わりに、エンジン排気量は660cc以下だから、パワー不足に陥りやすい。
車両重量が900kgなら、1.3Lエンジンを搭載するコンパクトカーと同等だが、排気量は約半分だ。背が高ければ走行中の空気抵抗も増えるから、軽自動車の動力性能に不満を感じるのは当然だろう。
実際にN-BOXやスペーシアのノーマルエンジン車を運転すると、平坦な市街地では問題ないが、高速道路やバイパス、多少なりとも急な登り坂を走るとパワー不足になる。広い車内を生かして4名で乗車したり、荷物を積めばなおさらだ。
そこでターボエンジンに注目したい。
ターボは一般的に動力性能を高めるスポーツ指向のメカニズムとされるが、軽自動車では排気量の不足を補う実用装備になるからだ。