2019.03.17
# 脳卒中

50代が増加中! 脳卒中になったら「救急車」は迷わず呼ぶべきワケ

受診までの「3.5時間」が分かれ目に
黒田 尚子 プロフィール

50歳前の発症が増えている?

50歳前で発症した渡辺さんのように、脳卒中は高齢者だけの病気ではない。

厚生労働省の「平成26年度患者調査」によると、脳卒中を含む脳血管疾患の治療や経過観察などで通院している患者数は118万人。このうち約17万人(14%)が20~64歳の就労世代で、ある専門医曰く、とくに50歳前の患者が増えている印象があるという。

死亡原因としては、「悪性新生物」(約37万人)、「心疾患」(約20万人)、「脳血管疾患」(約11万人)の第3位となっており、医療の進歩とともに、脳卒中の死亡率は年々減少傾向にあるものの、寝たきりや後遺症など、要介護状態の原因の多くを占め、その割合は増加すると推定されている。

 

厚生労働省が発表した「平成28年度国民生活基礎調査」によると、介護が必要となったおもな原因は、1位が認知症(18.0%)、2位が脳血管疾患(脳卒中)(16.6%)、3位が高齢による衰弱(13.3%)と、初めて認知症が1位になった。

認知症の種類として最も多いとされるのは「アルツハイマー型認知症」だが、脳卒中などの脳血管障害が原因となる「血管性認知症」も約3割を占めている。前者は高齢者に多いが、後者は若年性認知症の約4割を占めるなど、働き盛りの男性に多い認知症のタイプとなっている。

さらに、65歳以上の介護が必要となった原因を男女別にみると、脳血管疾患(脳卒中)は、男性で23%を占めダントツの1位である(下記、図表参照)。

つまり、脳卒中の恐ろしさは、病気そのものにあるだけではない。発症後の認知症、要介護状態の原因となる後遺症の重さにもあるということだろう。

【図表】65歳以上の要介護者等の性別にみた介護が必要となった主な原因
※出所:内閣府「平成30年版高齢社会白書(全体版)」

脳卒中などの「生活習慣病」を予防するためには?

では、脳卒中を発症させないためにはどうしたら良いだろうか?

脳卒中の危険因子(リスクファクター)として挙げられているのは、以下の通り。

とくに、高血圧症は、脳卒中だけでなく心疾患にとっても大きなリスク要因だが、50歳代以上の男性と60歳代以上の女性の6割%が高血圧と言われている。

<脳卒中の危険因子>
・高血圧症
・糖尿病
・心房細動(不整脈の一つ)
・高脂血症
・生活習慣(肥満、運動不足、喫煙、多量飲酒(1日1合以上)、過労・ストレスの蓄積等)

脳卒中に限らず、がんや心疾患など、いわゆる‘生活習慣病’を予防するためには、まずは病気に関する正しい知識を持つことだ。ちなみに、前述の渡辺さんが発症したのは冬場で、寒い時期のほうが多いと思いがちだが、実は夏も多いという。このため毎年、脳卒中週間は5/25~5/31に設定されているほどである。

そして、これらのリスク要因に留意した生活を心掛けるべきである。そこで重要なのは、それをはじめる時期だと考えている。

本来、健康な60代~70代の高齢期を迎えるための予防対策は、40~50代の若い世代から行われるものだ。

早い時期から生活習慣を改善し、定期的に必要な検診を受けるなどして病気を予防し、比較的健康な状態で高齢期に移行できたら、今度は、その状態や生活の自立を持続できるようにつとめ、80代で急増する要介護のリスクに備えるというのが理想的なプランだろう。

ところが実際、40~50代は自分の健康を過剰に評価し、病気の前兆に気付かない。60~70代は、将来の介護や認知症を心配するあまり、健康にお金をつぎ込む。

総務省の家計調査によると、60代は、ジムやフィットネスクラブなど「スポーツ施設使用料」の支出金額が一番多く、最も少ない30歳未満の約9倍。70代は、サプリメントなどの「健康保持用摂取品」の支出金額が一番多く、最も少ない30歳未満の約10倍ものお金を費やしている。

自分の健康を過信する40~50代と不安に感じ過ぎる60~70代。

病気を予防するためには、発想と行動を逆転すべきだと思うのは筆者だけだろうか?

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