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「介護保険はいらない」と拒否する85歳ガンコオヤジを説得する方法

介護保険の申請を拒否する親たち
太田 差惠子 プロフィール

調査員に「元気」をアピール

介護保険の申請をすると、数日後に、自治体から「訪問調査員」が自宅にやってきて、本人に対してどの程度介護が必要か調べる聞き取り調査が行われます。

タダシさんは現場を目撃したわけではありませんが、終了後に母親から電話が掛かってきました。母親は怒っています。

なぜなら、調査員の質問に、父親はありえない回答をしたからです。その一部を再現すると……。

調査員「自分で起き上がることはできますか」
父親「もちろん、起き上がれます!」
調査員「衣類の着脱はできますか」
父親「すべて自分でできます!」
調査員「入浴の際、見守りは必要ですか」
父親「見守りは必要なし。自分1人で問題ありません!」

〔photo〕iStock

これを聞いたタダシさんは、溜息をつきました。

「僕が甘かった。仕事を休んで、付き添うべきだったと後悔しています。『できます』のオンパレードだったため、もしかすると『自立』と認定され、父はサービスを使えないかもしれません」

結果が出るのは調査からおおよそ1か月。そろそろですが、タダシさんは気が休まらない様子です。

タダシさんの父親に限らず、介護保険の認定調査で、できないことでも「できます」「問題なし」と答える高齢者は少なくありません。

理由は、プライドだったり、意地だったり、遠慮だったりとさまざまですが、多くの子の悩みです。

「いつもは寝てばかりいるのに、ふと見ると、認定調査員にお茶を出していました」という子の声も幾度となく聞いています。

 

親がありえない回答をしたときには、家族から正しい情報を伝えたいものです。ただし、横から割って入ると、調査員の前で親子ゲンカ勃発、なんてことに……。

事前に、親の現状をメモしておき、本人の見ていないところでこっそり伝えるなど配慮が必要です。

タダシさんの父親は、医師から勧めてもらうことで申請に行き着きましたが、親の性格によってはそれさえうまくいかないこともあるのです。