――若者たちの成長を描いた青春映画ですが、高杉さん演じる大地は、感情にうねりが生まれた時、アップになることが多かったように思います。微細な変化を演じ分けるのは、難しかったのでは?

高杉:身体の動きの場合は、“ここで手をこう動かして……” とか、頭の中で段取りを考えることも多いですが、表情は、意図的に作れるものではない。だから、流れのままに、湧き上がってくる感情を大切にしていました。ただ、目線に関しては、少し気をつけていたかもしれないです。ただ目を伏せているよりも、このシーンでは、目に光が入った方がいいんじゃないか、とか。 

――毎回、役に入るときは「悩んで当たり前」という気持ちで取り組んでいるそうですが、今回はどういうところで悩まれたんですか?

高杉:台本を読んだ時点では、正直、大地という役にあまり共感できなかったので、台本に書かれていない部分を、あれこれ想像しました。こういう境遇に生まれたから、こういう性格だからきっとこうなんだろう、とか。

でも、どんな役でも、たくさん悩んで、たくさん想像することが、演じる際の糸口になるんじゃないかな。あとは現場のセットの中に立って、衣装を身につけて、共演者の方と向き合うことで生まれたものを大事にしています。

 
――大地は、ごく普通の青年ですが、リアリティのある役とキャラクタリスティックな役では、実はリアリティのある役の方が、演じるのは難しいと言われています。

高杉:今回、僕が難しいと感じたのは、まさにそのリアリティの部分だったと思います。でも、特殊なキャラクターも演じがいはあるものの、普通の青年を演じるのはすごく面白い。

大地も、人と関わって、周りに影響されることで成長していくんですが、それこそが、普通の人にとってのリアルだと思うんです。この映画も、まるで群像劇のように、大地を取り巻く人たちがそれぞれ変化していくところが素敵だなと思います。 

PROFILE

高杉真宙 Mahiro Takasugi
1996年7月4日生まれ。福岡県出身。2009年、舞台で俳優デビュー。以後、ドラマ、映画、舞台と幅広く活躍。2012年『カルテット!』で映画初主演を飾る。『ぼんとリンちゃん』(14年)では、第36回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞。17年には、『逆光の頃』などの演技が認められ、第9回TAMA映画賞最優秀新進男優賞を受賞した。主な主演映画に、『世界で一番長い写真』『虹色デイズ』『ギャングース』(いずれも18年)、『十二人の死にたい子供たち』(19年)などがある。出演映画『賭ケグルイ』が5月に公開予定。

INFOMATION

映画『笑顔の向こうに』

©公益社団法人日本歯科医師会

容姿端麗で、美しい歯を作ると評判の若手歯科技工士・大地(高杉真宙)は、新人歯科衛生士として東京郊外のデンタルクリニックで働き始めた幼馴染の真夏(安田聖愛)と偶然再会する。ところが、金沢で歯科技工所を営む父(池田鉄洋)に手がけた義歯を見せると、「お前は半人前だ!」と否定され……。公益社団日本歯科医師会の全面協力のもと、歯科医療の現場で笑顔を支える若者たちの成長を描いた青春映画。第16回モナコ国際映画祭でエンジェルピースアワード(最優秀作品賞)を受賞。

監督:榎本二郎
原案・製作総指揮:瀬古口精良
監修:8020運動30周年記念事業映画製作チーム
出演:高杉真宙 安田聖愛 木村祐一 佐藤藍子 藤田朋子 中山秀征 秋吉久美子 松原智恵子
主題歌:HANDSIGN「ふたりのサイン」
配給:テンダープロ / プレシディオ
©2019「笑顔の向こうに」製作委員会
  
https://egao-mukou.jp
全国のイオンシネマにて公開中

 
Photo:Aya Kishimoto Styling:Katsuhiko Yuhmi(THYMON Inc.) Hair&Make-up:Shuichi Ishibashi Interview&Text:Yoko Kikuchi