多発する児童虐待事件…「親・保護者=善人」の思い込みはリスクだ

子どもが「助けて」といえる社会に
森山 誉恵 プロフィール

子どもに関わるすべての大人に問われていること

虐待は最新の数字で年間13万件となっていて、27年間発見・対応件数は増加し続けています。

出典:厚生労働省

しかし、子ども本人からの相談事例はその中のたった1%となっていて、どれくらいの虐待が見えないものとして隠れているかわかりません。

子どもの近くにいるはずの、学校からの通報は7%、近隣・知人からの通報も13%、かつて地域の困りごとを把握する主な担い手であった児童委員や保健所は0%と、子どもの周囲の人からの通報はきわめて少ない時代になったのです。

一方で警察からの通報は49%となっています。つまりは、警察沙汰になるまで、なかなか発見されていないのが現状というのが、私の実感です。

出典:厚生労働省
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かつてよりも、家庭環境が閉鎖的になり、私たちが外から見ているものとは全く違う状況が家庭の中で起きているかもしれません。

子どもに携わるあらゆる職業・立場の人は、「児童虐待」というのは決して珍しいことではなく、どの子どもでも被害者になっている可能性があるものとして考えなければいけない時になっているのです。

また、これだけ周りの人が通報せず、警察沙汰になるまで子どもたちは放置され続けている現状なので、すこしでも気づいた人が立ち上がらなければ、子どもたちは救われないかもしれない、そんな時代です。

心愛ちゃんの事件で、同じマンションの人が「自分が気づけば救えたかもしれない」と嘆いている様子もニュースになっていましたが、事件が起きてからでなく、少しでも困ったときに自分にできる何かをしなくてはいけない、そんな時代なのです。

 

ちなみに児童虐待の通報は、189(いちはやく)が受けており、匿名でも相談でき、法律上、虐待の確証がなくても通報することになっています。自分ひとりが通報したところで……と思わず、必ず通報してください。

みんなが行動すれば、まだ問題が大きくないうちに解決できるかもしれません。また何人かが通報すれば、当然、児童相談所からこのケースは緊急度が高いと判断されます。ぜひ、何かに気づいたときには、一歩踏み出していただきたいです。

また、大人の言葉以上に子どもたちの言葉に耳を傾け、変化に気づき、子どもたちに一人でも味方が多くなり、たとえ困っても「助けて」といえる、そんな社会にしていけたらうれしいです。

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