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アラフォー女優が告白「15年続いた私の摂食障害」

思春期に植えつけられたトラウマとは?
松下 恵 プロフィール

痩せないと、痩せないと

『3年B組金八先生』に出演し始めた頃、思春期まっさかりの私は、まん丸だった。
たださえ、まん丸なのにブラウン管に映ると、ますますおデブになる。いよいよオンエアが始まってから、テレビに映る自分を見て「えー! これが私」とびっくりした。

これは、痩せないと、痩せないと。

学校へ持っていくお弁当は、野菜だけに減らし、ロケ弁もほんの一口しか食べず、ひどい時は1日に差し入れのたい焼き一つしか食べなかった。

 

当然、体重はみるみる減っていき、ちょうど私の役、伊丸岡ルミがクローズアップされる話のときには、34キロになっていた。

そのあと自分の体調に何が起きたかは、言うまでもない。

生理は止まり、肌はカサカサ、エネルギーが出ないから階段を上がるだけで息切れ。当時まだ15歳だった。

ある日、荒川の土手で、生徒全員揃って、ジャージ姿で撮影をしていた。ご飯を食べていないんだから、体は冷え切って、寒くて寒くて仕方なかった。

『3年B組金八先生』に出演中の14歳の頃

一人だけ青白い顔で震えてる私を見た武田鉄矢さんが、ぐっと私の手を掴み「お前、死んだニワトリみたいな手してるな。おーい誰か、ルミに飯を持ってきてやれ」
とスタッフさんに声をかけてくださったのだ。そのときにいただいた豚汁が、どんなに美味しかったことか。

金八先生はやはり、生徒を見ていてくれるんだな、と、その優しさにじんわり涙した。

摂食障害との戦い

『3年B組金八先生』の収録が終盤に差しかかる頃には、私の食欲中枢は完全におかしくなっていた。食べたくて食べたくて仕方ないのに、食べれば体重は増える。毎日、食べることだけを考えて生きていた。

突然、過食をするようになり、その分は吐き出してを繰り返していた。

成長期にも関わらず、ダイエットをしなくてはいけない。そういう子役は多かった。

私の摂食障害はなんと、15年近くつづいた。

以前よりももっと太ってしまった私は、過食する自分に耐えられず、カウンセラーの元を訪ねる。すると先生が仰ったこと。

「人からどう思われたいか、人からの評価で生きるのではなく、あなたがどう生きたいか、と考えてみてください。ご飯が食べたければ、いくらでも食べてください。その代わり、美味しいなあ、とよく味わって、感謝しながら食べてね。どんどん太っていいです。僕が責任を取ります」

「面白いことを言う先生だな」と思った。それ以来、私はありのままの自分を受け入れるようになった。たくさん食べて、飽きるまで食べて、ものすごく太った。
当時のマネージャーも「しょうがない、じゃあ、松下はおデブちゃんキャラで売るわ」と言ってくれた。

そして、そのまま2年ほど経った頃、ふと自分が食べることに飽きたのに気づいた。

痩せなきゃと思っていた頃は、無理な運動もしていたので余計にお腹が空いて食べていたけれど、ジム通いをやめたら同時にお腹もすかなくなった。

食べることに執着しなくなった。もう十分、と思えるようになり、摂食障害の苦しみからやっと解放されたのだった。