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ファーウェイ創業者が明かした「米中経済戦争」をめぐるホンネ

任正非CEOの30問30答

創業以来最大のピンチ

華為技術(ファーウェイ技術)を巡る米中の「ホットな戦い」が、ヨーロッパとアメリカを舞台に繰り広げられている。

ヨーロッパでは2月24日、ファーウェイが折りたたみ式5G対応型スマホ「Mate X」を発表した。2月25日から3月1日まで、スペインのバルセロナで、世界最大のモバイル見本市「モバイル・ワールド・コングレス(MWC)2019」が開かれるのに合わせて発表したものだ。今夏に発売を開始し、価格は2299ユーロ(約29万円)とかなり高めだ。

その3日前の21日には、サムスンがサンフランシスコで同様の新機種「Galaxy Fold」を発表済みで、24日には小米(シャオミ)も、5月に5G対応スマホを発売すると発表した。こうして世界のスマホ市場は、大容量・超高速・多接続・低遅延という「5Gスマホ」の時代に突入した。

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華為は「5Gスマホ」で、ライバルであるアップルの一年先を行っていると言われる。これに対し、米トランプ政権は、MWCに政府職員を派遣するなどして、「華為は危険な会社」と吹聴して回っている。すでにトランプ大統領は、昨年8月に国防権限法に署名しており、華為は今年8月から、アメリカ国内で事実上、締め出しを喰らうことになる。

そのアメリカでも、ワシントンで2月21日から24日まで、米中閣僚級貿易協議が開かれた。1月30日、31日のワシントン、2月14日、15日の北京に続く閣僚級協議である。

その結果、トランプ大統領は24日、ツイッターを更新した。

〈 中国との貿易交渉で、目に見える進展があったとの報告を受けて、嬉しく思う。それは、知的財産保護や技術移転、農業、サービス、通貨、それに多くの他の問題を含む重要な構造問題についてだ。これらのとても生産的な協議の結果、私は3月1日に設定されていた関税引き上げを遅らせることにした。

おそらく双方はさらなる進展を見るだろう。習主席と私は、合意を結論づけるため、「マー・ア・ラゴ」で首脳会談を予定している。アメリカと中国にとって、とてもよい週末だ! 〉

だが、ペンス副大統領を始めとするアメリカの強硬派は、中国に対して、さらなる圧力強化を求めていて、予断を許さない。

さらに、華為の創業者である任正非CEO(74歳)の長女・孟晩舟副会長(46歳)が、3月にも自宅軟禁中のカナダからアメリカに引き渡される可能性がある。アメリカ司法当局はすでに1月28日、孟副社長らを計23の罪で起訴している。

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/59943?page=4

このように、華為はアメリカ政府を敵に回すという、1987年の創業以来、最大のピンチを迎えている。

こうした事態に直面して、これまで長く「大のマスコミ嫌い」として知られてきた任正非CEOが、ついに表舞台に登場した。

任CEOは、元人民解放軍の技術者で、華為を世界170ヵ国あまりで売上高1090億ドル(2018年)、従業員18万人超という世界一の通信システムメーカーに育て上げた立志伝中の経営者である。

任正非CEO(写真は1月15日の会見)〔PHOTO〕gettyimages

任CEOは、海外メディア各社、中国メディア各社、中国中央テレビ、アメリカメディアと、今年に入って4回にわたって登場したが、そのうち最も赤裸々にホンネをぶちまけたのが、1月17日晩に深圳本部で行われた、中国メディアとの記者会見である。

記者から問われたのは計30問だったが、それぞれかなり長めに答えているので、以下エッセンスのみ、30問30答で訳出する。

「十数年前から予想していた」

記者: 華為がいま遭遇しているピンチを、どう感じているか? また、中国企業にとって「自主創新」(他社のパクリでなく独自に開発すること)の意義をどう思っているか?

任正非: いつかこんな目に遭うだろうと、十数年前から予想していたよ。つまり十数年前から準備してきており、徒手空拳で対処しているわけではないのだ。当然、悪影響は出るが、大規模なもの、重大なものにはならないだろう。

自主創新という言葉は、私はもともと支持しない。だって科学技術は人類共通の財産ではないか。誰だって先人の肩の上に足を置いて進んでいくものだ。農民でない限り、何でも自分の手でやろうなどと考えないことだ。

 

記者: 世界的に「反華為」の潮流が広がっているが、最悪のケースをどう考えているか?

任正非: 表面的には大きな影響はない。なぜならわが社の製品は他社の製品に勝るのだから、買わないわけにいかないだろう。例えば、5G基地局は、華為が世界最先端であり、それにマイクロ波を加えたものは、他社にはマネができない。西側の国の人たちだって、別荘で8Kテレビを観たいだろう? それともわが社をどかして、バカ高い経費を払うつもりか。

記者: 西側諸国が指摘する知的財産権の侵害については、どう考えているのか?

任正非: 自分はただ華為を代表しているだけで、中国企業の代表ではない。華為はアメリカで何度か訴えられたけれども、すべて満足いく結果に収まっている。華為は現在、8万7805件の特許を持っており、そのうち1万1152件の核心技術の特許は、アメリカで取得したものだ。

これらの特許については、西側の多くの会社と契約を結び、貸し与えている。つまり、華為は中国企業を代表するわけではないが、われわれは他人の知的財産権を絶対的に尊重しているということだ。