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# 中国経済

衝撃! なぜいま中国で「財産をすべて失う人」が急増しているのか

次のターゲットは日本人

「財産を失う」中国人が急増中

2018年夏、日本の旅行会社で働く王軍さん(仮名・40代)は猛暑の銀座で、アテンド中のツアー客が集合場所に戻ってくるのを待っていた。

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今回、王さんがアテンドしたのは上海から来たグループだったが、そのうち一人鄭紅さん(仮名・60代、女性)がなかなか戻ってこない。しばらくするとようやく姿を見せたが、その女性の顔は蒼白だった。

王さんは「どうしました、大丈夫ですか?」と訊ねた。彼女が待ち合わせの時間に遅れたのは、チャットアプリを使っての本国とのやり取りが長引いたせいだったという。最初は歯切れが悪かったが、ついに観念したのか、王さんにこう打ち明けた。

「投資した100万元がなくなった」

 

聞けば、その金は「P2P」と呼ばれるインターネット金融に投じた資金だった。

P2Pとは投資プラットフォームのことで、「資金を必要とする個人」と「提供できる個人」を結ぶ消費者無担保ローンのことだ。鄭さんはこれに日本円にして1600万円を超える大金を突っ込んでいたという。

すかさず王さんは「(P2Pの)利息はどれだけだったんです?」と訊ねた。けれども鄭さんはなかなか答えようとはしない。王さんがもう一度「一体、何%だったんですか?」と訊ねると、重い口を開いてこういった。

「9%…。12%で運用する商品もやってます」

王さんは「ええっ!そんな商品に手を出しちゃったんですか!? それはヤバいですよ」と驚きを隠さなかった。王さんのような“理性派”の中国人の間では、「年利5%以上を謳うのは怪しい会社」というのは常識になっているからだ。

鄭さんも内心わかっていた。口を閉ざしたのは、そんな商品に投資して失敗した自分を知られたくなかったためだろう。

上海出身の鄭さんは生活には余裕がある方で、たかだかこの1回の失敗で路頭に迷うことはない。だが、そのショックは決して小さいものではないようで、旅の後半はむっつりと黙ったままだったという。

王さんは筆者にこう言った。

「まさか、彼女も犠牲者になるとはねえ。中国ではここ数年、P2Pで失敗する人が続出しているんです」