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# 米国株

2019年版「バフェットからの手紙」が教える長期投資の極意

賢者曰く「米国は依然、追い風の中」

次世代へのバトンタッチ

今年も2月23日に「バフェットからの手紙」が公開された。もともと、バフェットの投資の重要な機能を担うバークシャー・ハサウェイの株主向けに執筆されていたのだが、投資・経済・経営に関わる幅広い分野での高い見識に基づく幅広い内容が人気を呼び、現在では、1977年以降の内容は英文だがすべてホームページで読めるようになっている。

内容の深い部分はともかく、英語そのものは後記のように編集者が手直ししているので、かなり読みやすいものになっている。

バフェットに関する書籍は数多く存在するが、バフェット自身による文章は、書籍の前書き・後書きや小論文のようなものに限られているので、この「バフェットからの手紙」が、バフェット流の真実を知るための貴重な手がかりである。

ただし、この手紙の文章は、長年の彼の友人であるキャロル・ルーミスによって編集されている。もちろん、バフェットが最終的なOKを出して、彼の名前で公開されているので、バフェットの文章だといって差し支えないが……。

2019年は、4ぺージ目に重要な報告が書かれている。バフェットの後継者として保険部門にはアジット・ジェイン、その他の運営にはグレッグ・アベルを2018年初めに正式に指名し、現在も順調に運営が行われていることである。

バフェットの後継者については、彼が60歳を超えた頃から本人によるジョークも含めながら、「トラック問題」としておおよそ20年にわたって語られてきた。「もし、バフェットがある日突然トラックに轢かれたらどうするか?」というわけである。

その対策のために、何度も後継者候補を指名してきたが、その都度失敗してきたという歴史がある。

バークシャーの定年が104歳であることは当サイト1月25日の記事、「バフェットが実践する『実力主義の終身雇用』こそが企業を再生する」ですでに述べたが、バークシャーの副会長であり、バフェットの盟友であるチャーリー・マンガーは95歳。それより7歳若いとはいっても、バフェットも88歳である。

今回の「手紙」を読むと、血気盛んな「後期高齢者コンビ」もいよいよ本格的な終活を始めた感がある。

したがって、今回の人選がうまくいってもいかなくても、「やり直し」はたぶん無いだろう……。

ちなみに、アジット・ジェインは、彼が若いころにバフェットがその才能を見込んでスカウトし、これまでバークシャーの保険部門を牽引してきた人物なので、これまでとほとんど変わらない。

 

木ではなく森を注視せよ

「バフェットからの手紙」では、冒頭2ページで1965年以来のバークシャーの運用成績と、日経平均のような指数であるS&P500との比較表を掲載するのが最近の恒例である。なお、バークシャーの運用成績は「市場価格」と「簿価」の2つの指標が採用されている。

1965~2018年の平均成績は、S&P500が9.7%であるのに対して、バークシャーの簿価が18.7%、市場価格が20.5%と大きく差をつけている。

だが、注目すべきは50年以上に及ぶその差の累積である。

1964~2018年の間のS&P500のトータルの運用成績は1万5019%である。100倍以上だから、バフェットが一般投資家にインデックスファンドを推薦する理由がよくわかる。この点については、当サイト2018年9月10日の記事「投資の神様バフェットが『投信を買ってはいけない』と忠告する理由」を参照いただきたい。

しかし、バークシャーの運用成績はもっとすごい。同期間において簿価で109万1899%、市場価格で247万2627%にもなるのだ。

つまり、簿価で約1万倍!、市場価格で約2万5000倍!にもなっていることがバフェットが「投資の神様」といわれるゆえんである。

ただし、バフェットは「木ではなく森を注視せよ」ということを4ページ目で述べている。

2ページの一覧表を見ればすぐにわかるが、過去50年以上にわたる成績の中には、1974年のように、バークシャーの市場価格が48.7%もマイナスになった年があるし、2008年のリーマンショック時はマイナス31.8%だ。さらに直近の2015年においても市場価格はマイナス12.5%を記録している。

それぞれの暴落、あるいは急落の時に慌ててバークシャー株を「安値」で売った人々は今頃後悔しているであろう。1年という短期(少なくともバフェットにとっては……)の動きばかり見て、50年という長期を見ないのは、1本の木だけに翻弄されて森全体を見ないのと一緒であるということだ。

もちろん、それではバフェットのような成功者にはなれないということである……。