460億円「テキシア詐欺」の巨額被害は山口組の軍資金になるのか

警察が捜査を徹底できなかった理由
時任 兼作 プロフィール

このグループは、弘道会傘下の組織から知力・体力にすぐれ、かつ刃物や銃器の扱いに慣れた忠誠心の篤い組員を集めて編成されている。対立する組織だけでなく、警察をはじめ捜査当局をも対象として尾行や盗聴も辞さない情報収集を行い、関係者の自宅や拠点はもちろん、贔屓にしている飲食店や愛人宅など立ち回り先も網羅し、いざという時に備えている精鋭集団。すなわち「極秘戦闘部隊」である。

弘道会が、六代目山口組組長はじめ脇を固める幹部らの出身母体であることを視野に入れれば、現体制の「飛び道具」のようなものだ。

 

実行が囁かれる「ある計画」

実際、2017年1月、六代目山口組とそこから離脱した神戸山口組との勢力争いが依然続く最中、六代目側からの離反の動きが見られた京都・会津小鉄会の定例会に、弘道会若頭補佐として野内正博組長らが乗り込み、総本部を占拠したうえ、会長の首を挿げ替えたのは記憶に新しい。

「このときに流血を免れたのは、その力があまねく知られていたからだ」

暴力団捜査に通じる警視庁の捜査関係者は、騒動について当時そんな解説をしていた。またこの際、「極秘戦闘部隊」による暗殺事件にも言及した。2016年、岡山で発生した事件のことだ。

「神戸山口組の柱の一つである岡山・池田組の若頭すなわちナンバー2が、2016年5月に射殺された事件も忘れ難い。対立抗争が続く神戸山口組の資金源を狙い撃ちしたものとみられるが、家を出る時間や出入り口など、現場の情報を周到に把握した上での犯行だった。実行犯として出頭したのは、弘道会傘下の高山組組員(註、本来は「はしごだか」。昔で言うなら、十仁会の精鋭だ」

前出の警察庁幹部がテキシア摘発に際して口にした“禍根”とは、こうした過去の事件を前提にしたものであり、今後、起こりうる事態に対する危惧でもあるようだ。事件捜査が難航した要因に続けて、こう語ったのである。

「今回、テキシアから野内組には10億円単位のカネが流れていたと見られているが、それが何に使われるのか、大いに懸念されている。それというのも周知の通り、いま山口組は大きな転換期に差し掛かっているからだ。

現在、若頭の高山(清司)は服役中だが、今年の秋には出所する。高山らがその後に目論んでいることが、すでに聞こえてきている」

具体的には、以下のような計画があると囁かれているのだという。