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460億円「テキシア詐欺」の巨額被害は山口組の軍資金になるのか

警察が捜査を徹底できなかった理由

捜査には「取りこぼし」があった

被害者1万3000人、被害額460億円という巨額投資詐欺事件がようやく摘発に至った。

摘発されたのは、「テキシアジャパンホールディングス」。同社は投資コンサルタントと称して、「一口100万円出資すると、毎月3%の配当が支払われる」「一年後には元本を償還するか、契約を継続するかを選べる」などと高配当と元本保証を謳い、しかも出資者を紹介すると報酬が上がる仕組みも取り入れ、高齢者らを中心に多くの会員を募って投資資金を集めてきた。

しかし、もちろん配当は滞り、元本の返還もなかった。

その結果、全国各地で出資金返還訴訟が起こされるなど問題が表面化。捜査当局も反応し、警視庁をはじめいくつかの県警が内偵を開始した。だが、それでもなかなか立件されなかったのである。

詐欺の疑いで、同社会長の銅子正人容疑者を筆頭に経営陣ら10人の逮捕に漕ぎ着けたのは、今年2月になってのことであった。

「何とか形になってよかった」

愛知県警の捜査関係者は、立件に際し、そう言って胸を撫で下ろしたというが、警察庁幹部は実は困惑の体であった。

「この事件は様々な要因があって難航したうえ、禍根をも残した」

と明かしたのである。

 

「第一には、警察官が絡んでいたことだ。正確には元警察官。10年ほど前まで岡山県警の警察官だった。こいつは、投資詐欺事件を担当する捜査部門に籍を置いていたこともあって、どうすれば摘発されないかがよくわかっていた。

そんな男がこの会社の幹部会員として地元・岡山などの勧誘担当のリーダー格として積極的に関係していたから、厄介だった。ありていに言えば、詐欺に問われないような集金の方法を指南していたとみられるからだ」

経営陣らと共に逮捕された三好輝尚容疑者のことである。立件が遅れたのは、こうした“指南”があったため、証拠固めが大変だったというのである。

「しかも、捜査ではいまだ取りこぼされた部分がある」

と同幹部は続ける。

「暴力団に流れたとみられるカネの流れの追及だ。事件の本筋は詐欺ではあるが、暴力団幹部が同社会長の銅子の秘書役として経営に深くかかわっていたため、当初は組織犯罪処罰法での立件も視野に入れ、懸命に捜査していた。

だが、元警察官がこの部分でも知恵を貸したのか、それとも元々、暴力団幹部に知識があったのか、いずれにせよ証拠が押さえきれなかった。これは痛恨と言う以外にない。

それというのも、銅子と一緒に逮捕された中村外喜治は、弘道会傘下の野内組幹部。由々しき組織に属しているからだ」

野内組と言えば、武闘派で名高い。弘道会における「偵察・暗殺部隊」の主要な構成メンバーの一つとされてもいる。現在はその存在すら伏せられているが、かつて「十仁会」と呼ばれたグループのことだ。