恋愛結婚は見合い結婚より幸福か…?行動経済学的視点で考えてみた

人それぞれではあるけれど
大原 浩 プロフィール

ほとんどの人がブレンドコーヒー

読者は喫茶店で何を注文するだろうか? 「喫茶店のメニューは豊富にあるが、ほとんどの人がブレンドコーヒー」を注文するとよく言われる。実際、筆者はいつもブレンドコーヒーを注文するし、ランチには、豊富にあるメニューには目もくれずにAセットまたはBセットを注文する。

興味深い事例がある。P&Gが販売していた26種類のふけ防止シャンプーのうち、売り上げの少ないものを廃止して15種類に縛ったところ、売り上げは10%「増加」した。

極めつけは次の実験である。

店舗内に実験者たちがジャムの販売コーナーを設置する。

6種類の商品を並べた場合、試食に立ち寄った客のうち、レジでジャムを購入したのは30%だった。しかし、大幅に選択肢を増やした24種類の試食の場合実際にジャムを購入したのはたったの3%(つまり10分の1!)であった。

ちなみに、典型的な米国のスーパーマーケットの取扱品目は、1949年に3750種類であったものが、現在、4万5000種類をすでに超えている。

読者も、選択肢が多すぎてげんなりする経験には事欠かないだろう。だから、習慣化したり「おすすめ」に素直に従ったりする方が楽なことが多いと感じるはずだ。

このような些細な選択について、人間が「選択権」を他人に預けることが多いことについて異論はないだろう。

 

命の選択をだれに預けるか?

しかし人生の重大事に関しては、自分の選択権を維持したいと考えるのが普通である。一方で、「結婚」のような重大な選択でも、「他人に選択権を預ける」ことはよくある。

例えば「延命装置のスイッチを切るとき」である。最近では医療技術が発達して、いわゆる植物状態での延命が可能になっているが、それが本人の望みかどうかは植物状態になった本人に確認しようが無い。

米国では医師が最終判断することは無く、植物状態になったわが子(わが親)の運命は親(子供)が決めなければならない。しかしフランスでは、親(子供)が積極的な異議を述べない限り医師の判断にゆだねられる。

そして、両国の親たちを比較した調査では、フランスの方が米国に比べて明らかにストレスやトラウマが少ないのである。

このように、医師だけでは無く、弁護士、会計士、コンサルタントなどの専門家に判断をゆだねることはよくある。自分の大事な財産を他人に預けて運用してもらう投資信託も、投資の判断という重要な部分を他人任せにする行為である。

ただし、投資信託に資産を預けることが望ましくないのは、本サイト2018年9月10日
の記事「投資の神様バフェットが「投信を買ってはいけない」と忠告する理由」
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/57425)で述べているとおりである。

医師、弁護士、会計士、コンサルタントなどは、能力も人格もピンキリで、顧客の懐の金を狙うのだけが目的の輩も結構多い。それよりも、読者のことを親身になって考えてくれる両親や親族のアドバイスこそ真剣に受け止めるべきではないだろうか?

また、ナンシー・レーガンは、レーガン大統領が狙撃されて死の淵をさまよった後、その狙撃を予測したとされる占い師に、その後のレーガン大統領のすべての日程を決めさせていたといわれる。彼女にとって最も大事なのは夫の命であり、自分でその危険を予想できない以上、怪しげな占い師に頼るのもある意味自然である。

自分が朝夫を送り出すとき、占い師に夫の命を預けたほうが、自分で選択して失敗するよりも心の平穏を得られるということである。

選択は大いなる苦痛でもあるのだ。