私に格闘家引退を決断させた、名古屋ご当地ラーメンのあの味の思い出

やさしく肩をたたいてくれた気がして

好来系ラーメン」をご存じか

台湾という名称がついているにも関わらず、発祥地はなぜか名古屋という摩訶不思議な料理を知っていますか。そう、名古屋のご当地ラーメンの王として君臨している『台湾ラーメン』である。そのインパクトは絶大で、一度食べたらきっと記憶に残る味だ。

しかしその影にひっそりと隠れて、じんわりと人気のあるもう一つのご当地ラーメンがある。知る人ぞ知る『好来系ラーメン』である。

1959年に創業した元祖『好来』は、屋台営業を経て名古屋市内に店舗を構える。その後、弟子たちがそれぞれ独立する形で、名古屋を中心として東海地方でじわじわと勢力を広げている。現存している好来系ラーメンは15店舗超だろうか。

 

大きな特徴としては、麺を茹でるためのザルが4つに仕切られていて、メニューを松竹寿で表現している店が多いということ。店舗により若干の違いはあるものの、基本的には松(まつ・チャーシュー麺)、竹(たけ・メンマ大盛)、寿(ことぶき・チャーシュー大盛)、寿竹(じゅちく・チャーシューとメンマ大盛)、大松(だいまつ・チャーシュー麺大盛)大竹(おおたけ・麺とメンマ大盛)、大寿(だいじゅ・麺とチャーシュー大盛)、大寿竹(だいじゅちく・麺とチャーシューとメンマ大盛)と呼ばれている。

覚えておけば、戸惑うことなく通っぽく注文できる。ラーメンデートでスマートに振舞えば、デキる男を演出できること間違いなし!

さて、肝心のスープは根菜を中心に、豚骨、鶏ガラ、干魚などをバランスよく煮詰めたダシで取っている。とにかくやさしい味。二日酔いにもピッタリで、朝食にもなるくらい胃にもたれない。

日々の体重管理を徹底していたプロキックボクサー時代、味の濃いラーメンを食べてスープを飲み干すと、その塩分によって身体に水分が乗って1kgくらい重くなるのが常だった。一方。好来系ラーメンは、塩分も控えめなので水太りしない。しかし、悪く言えば味が薄い。

繊細な味覚を楽しむことに関して、友人の料理家・松嶋啓介が「味を探す」という表現をしていた。言い得て妙である。好来系ラーメンもまさにその通り。最初は薄くて物足りないと感じた味も、滋養に溢れるラーメンだと身体が本能的に察知したのだろうか。1日経ち2日経つとうずうずしてきて、3日後には再訪していた。それから今日まで、週1〜2度ほど好来系ラーメンを食べるように。