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ファンドマネジャーが割の合わない「大学講師」をあえてし続けるワケ

自分が得たものを社会に返していく

私はなぜ大学講師の仕事を長年続けているのか

私がファンドマネジャーの仕事のかたわら、明治大学商学部で兼任講師(非常勤講師)として「ベンチャーファイナンス論」という講義を担当するようになって17年になります。今回は、私が学生に何を教えているのか、なぜ長年にわたって講師の仕事を続けているのかについてお伝えしたいと思います。

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ベンチャーファイナンス論の講義では、ベンチャー企業とはどのようなものなのか、起業家はどうやって資金調達するのかといったことを主なテーマとしています。

もちろん講義を受けた学生の中から起業家が生まれてほしいという思いもありますが、私がそれ以上に大切にしているのは「起業家をリスペクトする人」「挑戦することを称賛し、そのような生き方をする人を支えたいと思う人」をつくることです。

また、学生にはこの講義を通じて「働くこととは」「会社をつくることとは」「チームワークとは」「人に協力することとは」「お金を稼ぐこととは」「生きることとは」といった問いについて考え、多角的に学んでほしいと思っています。

 

講義は毎年、9月中旬から1月後半にかけて行います。最初の2カ月ほどは座学ですが、その後は学生をいくつかのグループに分けて企業研究に取り組んでもらいます。

具体的には、課題となる企業を私が4~5社選び、学生はそれぞれ担当企業のグループに分かれます。各グループ内に「プレゼン班」と「質問班」をつくり、プレゼン班は会社を訪問・調査します。

発表日にはその会社の社長を講義にお呼びし、社長の前でプレゼン班が「どんな会社なのか」「どこに経営上のリスクがあるか」などの調査結果を発表。質問班はそのプレゼンを聞いたうえで5つの質問をし、プレゼン班がそれに答えます。

その質問と答えを社長が各問5点満点で採点し、総合点で勝負が決まるしくみです。勝つと出席点が多くもらえ、成績に反映されます。質疑応答の後には、社長が学生たちにアドバイスをし、自分の会社について話をします。

質問班は「本質的なよい質問」をすることが求められるのでその企業について自分たちも勉強しておく必要がありますし、プレゼン班はどんな質問が出るかを予想してさまざまな角度から企業について調べておかなくてはなりません。ですから、私の講義を受ける学生は必ず特定の企業について詳しく調べることになります。

そしてこの取り組みを通じ、「自分ごと」として主体的に会社を見ること、チームでパワーポイント資料をつくりわかりやすくプレゼンすること、そこで求められるチームワークなどを体験し、学ぶのです。

ただ経営者の話を聞くだけだと、どんなに感銘を受けても翌日には忘れてしまったりするのが人間というもの。ですから、私の講義では学生に手を動かしてもらい、体験することによって学びを定着させることを目指しているのです。