空をめぐる闘いが続く(photo by iStock)

生き残り競争の過熱するJALとANA... 勝つのはどっち?

未来の空旅はどう変わるか・その2
より収益率を重視しているJALに、よりネットワーク効果を追求しているというANA。私たちはどちらを選ぶのがよいのだろうか? 首都大学東京特任教授で交通政策が専門の戸崎肇氏が、航空の現況と今後の展望・課題について利用者目線から追っていく、連載第2回!

国内幹線という遺産

連載第1回では国際線におけるJAL・ANAの競争について見たが、今回は国内線について見よう。

ANAはもともと国内幹線をベースに成長を遂げてきたので、国内線ではしっかりとしたベースをもっている。

1985年まで、日本にはいわゆる「航空憲法」というものがあり、敗戦国として、自力で航空輸送を行えない時期が長くあった。

国際的に大きな遅れをとった航空産業をできるだけ短期間に世界水準に導くため、国策として航空会社間の事業の棲み分けをさせ、競争をさせずに体力を蓄えることで新規投資を促し、急速な成長を可能にさせたのだ。

この際、ANAは国内幹線を主に担当することになった。この遺産が今でも活きているといっていいだろう。

新規航空会社を傘下に収めるANA(photo by Gettyimages)

1998年以降、デフレ経済からの脱却を図るための競争促進政策の1つの成果として、スカイマークやエアドゥ、スカイネットアジアといった新規航空会社が誕生する。

しかし、その後に登場するLCCとは違って、この時期の新規航空会社は革新的なビジネスモデルをもたず、インフラも不十分であったため、次々と経営が行き詰まっていく。その結果、スカイマーク以外の航空会社は、いずれもANAの傘下で再生を図ることになった。

そしてスカイマークも2015年に経営破綻し(これは先回言及したA380の購入をめぐる判断ミスが主因であり、他の新規航空会社の破綻とは事情が異なる)、最終的にはANAの支援下での再生を図っている。

つまり、LCC以前の主な「新規航空会社」はすべてANAのグループ会社となっているのだ。

この関係性を活かし、コードシェアなどによってANAの国内線ネットワークは拡充され、便数を増やすことも可能となってきた。さらにグループ会社間での役割分担も可能となり、グループ内での最適な資源配分が行われていると推察される。

JTAという強み

これに対するJALの強みとして、沖縄の空の主たる担い手であるJTAがある。

もともと南西航空として出発したが、1993年にJTAに商号を変更した。沖縄本島と石垣島、宮古島といった代表的な観光地を結ぶとともに、沖縄県内の生活路線ともなっている。

さらに東京と那覇、石垣、宮古との間に直行便も飛ばしている。その他にも本州との間で路線をもつとともに、近い将来には国際線への進出も図っている。

また、JAL自体、国内線ネットワークも確実に拡充してきており、JALとANAが競合する路線は多い。

こうした競合関係は、利用者にとっては望ましい。どちらかが単独で運航している路線は競合している路線に比べて運賃は相対的に高いし、マイレージなどの割合も悪い。

新幹線との関係でも同じことが言える。

人口減少社会とはいえ、国内市場における需要喚起には今後も積極的につとめていかなくてはならない。地方創生はまさにそうした取り組みである。そのためには、航空会社任せにするのではなく、特に受け入れる地方の側での需要創造の努力が求められる。

単に航空会社に「路線を引いてくれ!」、というのではなく、地元としてどれだけの利用者を確保できるか、あるいは創り出していくことができるかを提起し、ビジネスとしての交渉を行う必要がある。

すでに十分な路線ネットワークが張り巡らされている中、公共政策としての航空事業の性格は現代では薄れてきており、現状では収益性が路線開設、増便において厳しく問われている。