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「灰色のサイ」に悩まされる中国経済の先行き不安

いつ、突然爆発するか…

中国経済が成長の限界に直面している。これまで中国政府は、インフラ投資などによって需要を創出してきた。この発想は現在も残っている。ところが政府の景気対策にも拘らず、足元の中国のGDP成長率は右肩下がりだ。GDPの成長率が低下するということは、基本的に、国内で生み出される付加価値が小さくなる(資本の効率性が低下している)ことだ。

中国経済をダムに例えるとわかりやすい。政府は経済成長(水面)の引き上げを目指して、大量の資金(水)をつぎ込んでいる。ただ、経済のダイナミズムが低下し、湖底には付加価値を生まない不良債権(ヘドロ)が累積している。それが“灰色のサイ”だ。短期的に中国経済が持ち直す可能性はあるが、長期的には低迷懸念が高まるだろう。

 

金利低下が支える中国株価

中国経済を見ていると、実体経済は傷んでいる。特に、信用リスクの上昇は顕著だ。2018年、中国における社債のデフォルトは1200億元(1.9兆円)程度に達した。中国企業の業績が急速に悪化する中、2019年のデフォルト額は昨年を上回る可能性が高い。見方を変えれば、中国経済の期待収益率は低下しているということだ。

債務懸念が高まる中、中国の株価は軟調に推移してもおかしくはない。しかし、糸で引き上げられるようにして株価は上昇している。背景には、中国政府が金融市場をかなり強力にコントロールしていることがある。重要なのが、名目金利(国債流通利回り)の低下だ。2018年年初、3.8%程度で推移していた中国の2年金利は2.6%まで低下した。

中国人民銀行は、資金供給を増やし、投資家にリスクテイクを促している。加えて、公的資金を用いた株式購入によって、人為的に株価を釣り上げている。この間、人民銀行は利下げ(貸し出しと預金の基準金利引き下げ)を行っていない。人民銀行は利下げを最終手段に位置づけ、他の方策によって金融緩和の余地があることを強調している。

中国の株式市場は“官製相場”の様相を強めている。中国政府は市場原理を重視する考えを持っていたが、もはや、その姿勢は感じられない。それに加え、1月には米FRBが利上げを“忍耐強く進める”との意思を表明した。これを受けて、世界的に金利の先高観が抑制され、昨年後半に価格が顕著に下落した中国株に資金が急速に引き寄せられている。

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