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堺屋太一さんが最後に語っていた「忘れ形見」の話

どうか長生きをしてほしい

新しい時代を楽しみにしていたが

まさか「我が子」を遺して逝くとは、本人も思っていなかっただろう。作家で経済評論家の堺屋太一氏が2月8日、多臓器不全のため83歳で亡くなった。心臓の手術をした後の急変だったという。

昨年9月には、週刊現代の連載「人生の相棒」で、愛犬・ゴクウとの仲睦まじい姿を披露していた。自ら犬のリードを引いてスタジオに現れ、元気な様子だったが……。

「1月初旬に体調を崩し、検査のため入院しました。その後、予後は良好でしたが、亡くなる2日前に急変し、そのまま息を引き取りました。

『少しずつ体力をつけて、春には仕事を再開しよう』と話していた矢先でした。入院の直前までは毎日、ゴクウの散歩をしていたんです」(事務所関係者)

 

一日2度、計8000歩ほどの散歩をこなしていた堺屋氏。子のいない夫妻にとって、ゴクウは息子同然の存在だった。

「この子は『低欲社会』の子なんですよ。非常にしらけている。昭和から平成にかけての日本人を象徴しているかのような犬です。あまり自己表現しないけど、『こう考えているだろう』って想像するのが楽しくてね」

堺屋氏は、独特の表現でそう語っていた。

「『2度目の大阪万博も決まったし、元号も変わる。新しい時代はどうなるだろう』と常々口にし、20年前に執筆した小説『平成三十年』に続いて、『新元号10年で何か書きたい』と意気込んでいた」(前出の事務所関係者)という堺屋氏。

その思い半ばにこの世を去った。

忘れ形見となったゴクウは、現在8歳。ご主人様が長らく家を空けていることに何かを察し、調子を悪くしてしまったという。堺屋氏に代わって、新しい10年を元気に生きてほしい。

「週刊現代」2019年3月2日号より