沖縄発!「ゆとり世代」「さとり世代」が社会を変える可能性

打たれ弱いがゆえの強みがある
松永 多佳倫 プロフィール

多角的な視野の広さと郷土愛の強さ

大都市圏に比べて沖縄はいろいろな面でハンディがある。情報面でもそうだ。目から入ってくる情報が脳を活性化すると言われ、東京や大阪といった都市圏にいると巨大モニターや街に行き交う人々のファッションセンス等から色々な情報が勝手に入ってくる。だが、沖縄では自然の空気を感じられても、カッティングエッジな情報は自ら入手しなくてはならない。ネットを通じない生の細かい流行をキャッチするのが難しいのだ。

 

20年くらい前までは、県外に出て何かを学習しようとする意欲を見せる者は多くはなかったそうだ。生まれ育った沖縄にいることで満足し、楽しく生きることに価値を見出していた。

しかし、2012年にLCCが就航して以来、東京、大阪の都市圏に1万円以下で行けるようになり、沖縄の20代の若者は行きたいフェスやコンサートがあれば気軽に内地へ出向くことができるようになり、一気に距離感が縮まった。夢を追いかける子と、ただアルバイトで疲れている子といった二極化が進んでいる20代の若者といえども、内地へ行くチャンスが格段に増えている。

さらに、彼らはナイチャーと違って海外との距離感が異常に近い。那覇から台北まで飛行機で90分という距離感もそうだが、進学の選択肢に海外留学がある。基地がある関係上、米兵と結婚した叔母さんがいること自体そう珍しいことではなく、親類縁者との結びつきが強い沖縄だけに叔母さんを頼って留学するというケースが多々ある。

他県だと一部の富裕層しか海外留学などできないが、沖縄は内地の大学や専門学校へ行くのと同様な意識で海外留学を視野に入れている。常に世界を見ているのだ。これは大きなアドバンテージである。彼らは海を渡り、豊富な知識を得、必ずと言っていいほど沖縄に持ち帰ってくる。

おじい、おばあたちが悲惨な戦争を経験し、基地反対の意志を曲げずに行動を起こすのは沖縄の未来のためだと言う。凄惨な沖縄戦で地獄を見てきた先人たちから、この世で家族より大切なものはないと教えられ、命を張って生き抜いたおじい、おばあを見て育ったウチナーンチュの愛郷心は世界一だ。

地方の優秀な若者は東京の大学に進学し、そのほとんどは故郷に帰ることなく東京で就職する。そうして東京への一極集中は量、質の両方で進み、地方はどんどん空洞化していく。

ところが、沖縄の若者は故郷に帰ってくるのだ。沖縄の若者は経験が足りないかもしれないが、代々受け継がれてきた沖縄を愛する心を持つだけに、生きる上で大切なことには自己判断ができる。

アメとムチを使って圧力をかけ続ければ、沖縄なんてどうとでもなると思っている政治家や官僚のみなさん、沖縄の若者たちをなめていると、痛い目をみるかもしれませんよ。