③    カエル会議(要因分析)

カエル会議は、「働き方をカエル(変える)」「早くカエル(帰る)」「人生をカエル(変える)」という意味を込めた大事な会議だ。チームの働き方改革は、1人だけが頑張ってもうまくいかない。全員で「何が問題か」「原因は何か」「解決策は何か」についてディスカッションし、全員で実行して振り返る。このサイクルを全員で回す続けることによって、少しずつ「働き方」を変えていくことができる。

カエル会議では、それぞれが持ち寄った課題を集め、優先順位を決める。解決すると全体への影響力・効果が高いが、解決への難易度はさほど高くなさそうな課題を優先的に選ぶとよい。このとき、つい「残業時間が長い」「業務量が多い」といった大きな課題に目がいってしまうことだろう。その結果、「残業時間を短くする」「業務量を減らす」といった解決策が出てきがちだが、実際に残業時間を短くしたり業務量を減らしたりするための施策は課題が大きすぎて考えつきにくいので、行動に移りにくく課題は解決されないまま見てみぬふりをされてしまう。

そこで、大きな課題を小さく分解する作業を、付箋を用いて行う。これを私たちは「要因分析」と呼んでおり、コンサルティングの基本ともいえる。「残業時間が長い」という課題であれば、残業を引き起こしている要因――たとえば、定時を過ぎて開催される会議が多い、個人戦で助け合えていないなど――をひとつずつ列挙していく。

それでもまだ課題が大きく解決策が思い浮かびにくい場合は、さらに要因分析を行う――会議の開催時間にルールがない、会議の所要時間が延びてしまいがち、などだ。この要因を掘り下げることを3~5回行うと、小さな課題が書かれた付箋が数多くテーブルに上がる。

その数に驚くかもしれないが、よく読むと課題そのものは小さなものであるため、解決策も平易なもので対応できる可能性が高い。たとえば、開催時間にルールを決める、会議室にタイマーをおいて終了時間を自動的に知らせるなどだ。

④    解決策の実施(アクションシートでの進捗管理)

皆さんが気になるのはおそらくどのような解決策が出てきたか、であろう。ここで、代表的なものをいくつか紹介したい。

【スキルマップ】

仕事が特定の人に固定化されている、いわゆる“属人化”が課題の組織は、スキルマップを作成するところから始めてみよう。まず、業務を実施するのに必要なスキルをすべて洗い出す。少ない企業でも20はくだらないはずだ。次に、スキルの習熟度を◎〇△×などで“見える化”する。こうすると熟練度合いが一目瞭然となるため、熟練度合いの高い人と未熟な人とをペアにしてスキル委譲がしやすくなる。

【会議資料の枚数制限】

会議が長い、資料の準備時間が膨大といった課題を抱える組織は、会議資料の枚数に上限を設定してみよう。会議が長くなる背景には、資料が膨大すぎて読み込むのに時間がかかったり、要点がぼやけてしまい判断ができなかったり、といったことがある。また、1時間の会議のために10時間資料作成していることも。たとえば資料は10枚以内といったルールを設けることで、資料を読む側も作る側も取捨選択しやすくなる。

【集中タイムの設定】

仕事をしていると「ちょっといいですか」と中断を迫られることが多い場合には、集中タイムの設定がおすすめだ。1回30分程度、集中して作業する時間を1日に確保、周りからも「集中タイム中」であることがわかるように、プラカードなどの表示を出しておく。集中タイム中は、会議を入れない、電話の取次ぎをしないでもらうなどのルールも合わせて整理しておく。こうすることで、集中して作業ができミスも減る。なお、1回1時間以上にしたり、1日に何度も取得できたりすると、職場内でのコミュニケーションがうまくいかなくなることもあるので、注意が必要だ。

実行し、修正してこそ意味がある

こうした解決策は、考えだしただけでは意味がない。きちんと実行し、うまくいかない部分は修正を重ねていく必要がある。そのためには、毎週のアクションをまとめた「アクションシート」を作成し、進捗が見える状態を作ることも大切だ。

働き方改革は一朝一夕にはできない。その過程で意見の対立もあるだろう。慣れ親しんだ従来型の働き方を変えることに不安を抱く人も多いだろう。しかし、長時間労働を脱し、誰もが自分に合った働き方ができる環境をつくることは、日本社会全体がさらに前進するための大きな挑戦だ。焦らず、諦めず、一歩ずつ進めていこう。