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金融業界に激震! 金融庁「遠藤ペーパー」の中身を全公開する

『捨てられる銀行』著者が最新レポート

金融庁・遠藤長官が幹部に配った「ペーパー」の中身

話は今年始めにさかのぼる。金融庁の実質的な仕事始めとなる1月7日、遠藤俊英長官の年頭訓示が行われた。

主要幹部には遠藤の重点施策をまとめた1枚のペーパーが配られた。この「遠藤ペーパー」の冒頭には、重点施策として、

「過去20年に亘る『貯蓄から資産形成(投資)へ』政策の振り返りと枠組みの再設定」

と掲げられていた。

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遠藤には強い問題意識があった。それは前任の森信親長官が打ち出した資産運用重視の基本路線を継承したものの、思ったよりも進んでいない現状をどう打開するか、というものであった。

 

前任の森信親長官は 資産運用会社を含む金融機関に対して、顧客本位の業務運営を促し、「顧客本位の業務運営に関する原則」「独自のKPI(Key Performance Indicator=重要業績評価指標)」、さらには販売会社に対して「共通KPI」の公表を求めてきた。

主要な金融機関、資産運用会社はこれに応じてきた。金融業界(少なくともマネジメント層)においては「フィデューシャリー・デューティー(信認された者が最優先で果たさなければならない義務)」の重要性がようやく認識されるようになった。2018年1月には、少額投資非課税制度(NISA)の長期積立枠「つみたてNISA」も始まり、認知度も一定程度は広がっていたはずであった。

しかし、個人の投資信託残高が順調に増加しているとはおよそ言えない状況であることが、日銀が2018年6月に公表した資金循環統計の見直しで露呈していたのだ。具体的には、2017年末で109兆円とされていた家計部門の投信残高は実は30兆円以上も低い76兆円であったのだ。

メディアには「貯蓄から投資」が進んでいなかったと指摘されていた。こうした背景事情から「政策の振り返りと枠組みの再設定」という遠藤ペーパーが作成されたのではないだろうか。

遠藤ペーパーには、注目すべき点がある。その一つが行政対応として盛り込まれた「証券課の衣替え」という一文だ。これは証券会社のみならず、資産運用業界全体に衝撃が走る可能性がある。