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「チケット転売」を防げ! 川崎フロンターレの新たな取り組み

危機感を抱いているからこそ

苦情は本当に多い

社会問題化しているインターネット上でのイベントチケットの不正転売。昨年12月にチケット不正転売禁止法が成立し、今年6月から施行される。主催者(興行主)の同意なく、定価以上で売ることを禁じる。違反者には1年以下の懲役、または100万円以下の罰金を科す。

早くから人気アーティストの音楽ライブ、スポーツイベントなどで問題となっていたが、近年はJリーグでも広がりを見せている。

なかでも一段とチケットが取りにくくなっているのが、Jリーグ2連覇を達成した人気クラブ、川崎フロンターレのホームゲームである。2015年にメインスタンドを改修した川崎市中原区にある等々力陸上競技場の収容人数は2万7000人弱。

昨シーズンはリーグ戦17試合中13試合が完売となっている。今季も既にホームゲーム20試合(リーグ戦17試合、ACLグループステージ3試合)がセットになったシーズンチケットは完売している。

 

これまで転売の事実を確認しているクラブは今年2月上旬、公式サイト上にて注意を呼び掛けている。一部を抜粋する。

「昨シーズン、チケット売買サイト、インターネットオークションサイト等にて川崎フロンターレホームゲームのチケットが転売されていることを確認しております。また、多くのサポーターの皆さまより、『正規価格でのチケット購入ができない』『営利目的での転売行為が行われている』との声をいただいております。

弊クラブホームゲームチケットを営利目的での転売行為は禁止としており、また正規の販売方法以外で購入されたチケットであることが判明した場合にはこれを無効とし、ご入場をお断りいたします。営利目的でのチケット転売は絶対におやめください。そして、転売されているチケットを購入されないようご協力をお願いいたします」

公式サイトには「不正転売のチェック体制強化」など転売対策への取り組みについても記述があった。具体的にどのように動いているのか、営業部チケットセールスグループ副グループ長の本明知己さんに聞いた。

――公式サイトにもあるとおり、サポーターの方から転売に対する苦情が多く届いているようですね。

「我々としては一人でも多く、スタジアムに来て、楽しんでいただきたい。サポーターから『転売問題をどうにかしてほしい』という声を多くいただいており、何とかしていきたいと考えて昨年はフォーラムや音楽業界の転売対策に関する勉強会などにも参加しました。転売を防ぐ難しさを実感しておりますが、クラブとして出来ることを精いっぱいやっていきたいと思っています」

――紙チケットは電子チケットに比べて転売を防ぐのがどうしても難しい。やはり電子チケット化への推進が、一つの抑制策になるのでしょうか?

「今年はシーズンチケットの電子チケット導入トライアルをして、来年から本格導入する予定です。フロンターレ後援会(※入会することでシーズンチケット購入権を得られる)会員証をIC化して、そこにシーズンチケットの情報を入れてタッチして入場してもらう、スマホ上のQRコードで入場してもらうなど、そのトライアルの準備を始めているところです。時期的には、シーズンの後半戦になると思います」

――電子チケットは鹿島アントラーズ、横浜F・マリノスなどJリーグでも取り入れているクラブは少なくありません。

「フロンターレは、競技場のゲートが比較的狭く、チケットの認証端末が置けないなどハード面でクリアしなければならない問題がありました。その端末が小型化になり、我々としてもようやく導入できるメドが立ったということです。運用面でもしっかり準備をして、今年のトライアルでクリアにできればと思います」

――ソフト面の取り組みとなると、どのようなプランが?

「6月に転売を禁じる法律が施行され、我々としてはチェック体制を強化したり、注意喚起を徹底していくということになります。チケットの裏面にも営利目的の転売を禁止する注意事項を明記し、後援会の会員組織細則も見直しました。また、たとえば一案ですけど、ハーフタイムに選手が登場して『転売ダメ』と伝える映像を流すだけでも違うと思うんです」

――映画館の「盗撮ダメ」と同じようなイメージですかね。

「そうです。(定価以上の)転売は法律違反なんだと多くの人に認識していただくことも、十分に抑止策になると思います」