「普天間運用停止」本当に辺野古以外の解決はなかったのか

元米海兵隊幹部が振り返る
ロバート・D・エルドリッヂ プロフィール

解決策その2 那覇基地活用案 

第2の解決策は、中国やロシアの領空侵犯などのためにスクランブル(緊急発進)する航空自衛隊のジェット機を宮古列島にある下地島空港に移転させてから、海兵隊は那覇基地に移動するとの案だ。

伊良部島が隣接し、そこから宮古島に近年、橋でつながるようになったため、宮古列島で生活し、観光するのはかなり便利になった。

下地島の3000㍍の滑走路は、長年、日本の民間航空会社が操縦者の訓練地として使っていたが、フライト・シミュレーターが利用されるようになって、滑走路は十分に利用されていない。

1960年代から地元住民は自衛隊を誘致しようとしており、結果として空港ができたが、運営者である沖縄県庁と運輸省(当時)との間で、軍事転用をしない合意を1971年に締結した。

その後、災害対応などのために使用できることが認め、合意が改正されており、海兵隊は、ヘリの燃料補給のために使用したことがある。

宮古島には、既に航空自衛隊のレーダー基地は既にあるが、中国軍による海や空の行動に鑑みてより大きな自衛隊のプレゼンスが必要だ。

 

この関連で、2016年1月に那覇基地にある南西航空方面隊所属の戦闘機中隊を倍にしたが、スクランブルの必要性は大きく減ったと残念ながら言えない。

同じ年では、那覇基地から発進するスクランブル数は過去最高の803回に達した。つまり、那覇は遠すぎ、かつ不便だ。中国軍こそ、それを分かっている。

さらに、那覇空港には、現在、1つの滑走路しかなく、民間飛行機が優先されている。もし中国との有事が発生したとして、中国の民間機が「故障」して、滑走路の真上に居座ったら、航空自衛隊の戦闘機は離陸でき無くなってしまう。要するに軍事基地として不十分なのである。

尖閣諸島が焦点として、遠い那覇基地からの発進は、飛行機及び操縦者に疲労をもたらしている。ところが、より近い下地島空港よりの発進だったら、日本にとって極めて有利な状態をつくる。

最終的に、日本が今まであった南西諸島の上空の穴を見事に閉じることができ、中国は領空侵犯を控えるようになる。仮に中国がその行動を取りやめない場合、毎回、日本からは速いかつ強い対応で対抗し、もし必要があれば、下地島空港(基地)からさらにブルーサムライたちが来ることを覚悟しないといけない。

那覇基地が少し空くことになるため、海兵隊の航空機(オスプレイなど)は空いている格納庫やエプロンを使用することができる。

これらの航空機は、まだ沖縄本島内に、他の海兵隊の部隊と一緒にいるので、先述したMAGTFの完結性は維持したまま、テナントとして日本の基地の一部を利用することになる。

これによって、米軍の活動に対して多少不満のある日本政府にとって米軍の透明度が上がり、財政上の節約や合理化、(海兵隊は1つ少ない基地の運用をするので)地元との政治摩擦の削減、(海兵隊の姉妹組織である陸上自衛隊の第15旅団もいるので)軍事的の相互運用性が高まり、そして、世界や地域の両国の敵に対して、「日米同盟は強い」という極めて重要な戦略的なメッセージを発信できる。

また、那覇空港で建設している第2滑走路の目的の1つは普天間で失ったその機能の代替であるので、今から海兵隊が那覇基地にいることは意義深い。予算化されたら、移転は1年でできるほど簡単だ。

日本、アメリカそして沖縄にとってwin-win-winだが、勝連構想ほどよくない。また、海抜4㍍にある那覇基地には津波リスクがある。