Photo by Worldspectrum from Pexels

データを無駄遣いするビットコインは「楽しみ」が生んだ! その理由

デジタル「西」遊記〈特別編〉大型対談
『ブロックチェーン』著者・岡嶋裕史氏と『暗号が通貨になる 「ビットコイン」のからくり』共著者・西田宗千佳氏との大型対談、後編をお届けする(前編はこちら)。

ビットコインの構造を取材してきた西田氏に対し、「サトシ・ナカモトは単に楽しかったからビットコインを作ったのでは」と岡嶋氏は一見すると暴論をぶつけるが──。

ブロックチェーンは「議事録改ざん対策」に使え!

西田 岡嶋さんのご著書『ブロックチェーン』を読むと、暗号通貨(暗号資産)以外のブロックチェーンの使い道について懐疑的なようにも思えます。

ですが、ブロックチェーンという技術自体は優れているし、将来性があるようにも考えられます。実際、ほかにも合理的な使い道があるのではないのでしょうか。

岡嶋 議事録みたいなものは、けっこうブロックチェーンと親和性が高いのかな、と思います。

先日、大学関係者との会議でも、「議事録って、本来自分が話したことがそのまま載ってるはずなのに、けっこう発言がいじられているよね」という話題が出たんです。

ブロックチェーンを使った議事録が出てくれば、それで参加者が幸せになるかどうかは別にして、公平なシステムは築けると思うんです。

西田 そうですね。これまで議事録のようなものは、書き起こす人の能力で若干の解釈の揺れや方向性の違いが生まれていたと思うんです。一種の変換であり翻訳ですが。そこに「報道」という翻訳が重なることで、さらに真意からは外れることもあった。

ですが今後は、発言した言葉が自動書き起こしなどによって、「人の手を介さずにテキスト化・データ化される」可能性がきわめて高くなってきました。間違いの訂正はいるけれど、発言の正確性は容易に担保されますね。

西田宗千佳西田宗千佳氏

岡嶋 機械化作業にしてブロックチェーンに書いてしまう、そして、そのあとの修正もブロックチェーンで担保されて「公平に回ってくる」ことが重要で、あとで検索可能になります。

一方で動画記録も残しておけば、その記述の正しさを、改めて確認できますね。動画はブロックチェーンに載せられないので、単に保存しておくだけです。

でも、それでも大きな変化になります。

西田 おっしゃるとおりですね。これからの記録に重要なのは、生の録音・録画があったうえで、タイムコードと検索可能なテキストがセットになっていることだと思うんです。

そして、その変更・改定履歴がブロックチェーンで担保されればいい。なにかあれば、元の記録に戻って確かめればいいんですから。

岡嶋 たしかに、これから自分の発言が歪められたり切り取られたりする可能性はどんどん減っていくと思うんです。ブロックチェーンで担保できれば、の話ですが。

ビットコインを生んだのは「理論」ではなかった

西田 これはご著書でも指摘しておられましたが、「暗号化すること」は原本と同じであることを必ずしも担保していなくて、「原本と同じであること」を別途、クリアに担保する必要がある。そのひとつの方法が「ハッシュ」ですよね。

岡嶋 ハッシュなんて枯れた技術ですよね。その組み合わせでキレイにしくみを作った、というところが、ブロックチェーンの特に興味深いところだと思うんです。

実際、この本を書いている間は、めちゃめちゃ楽しかったんですよ。