串カツ田中の絶好調で分かった、飲食店「禁煙化待ったなし」の現実

客単価は減、客数は増加の意味
加谷 珪一 プロフィール

客単価は下がったが客数が増加

では具体的に禁煙に移行したことでどのような変化が見られたのだろうか。串カツ田中の既存店(直営店)の業績推移を見ると、全席禁煙を実施した6月以降、客単価が前年割れする月が続いており、明らかに客単価が下がったことが分かる。下落幅の平均値は約3.2%である。

喫煙とアルコール消費の関係は必ずしも明確ではないが、喫煙する客が長居する傾向が顕著なのはよく知られた事実である。長居するとアルコールを余分に注文するので、一般的に喫煙者の客単価は高いとされる。喫煙者がいなくなったことでアルコールの注文が減った可能性は高いだろう。

一方、禁煙化したことで家族連れの入店が増えた。家族連れの顧客は過度には長居しないし、アルコールも大量に注文しないので、客単価としてはマイナス要因になる。だが家族連れが牽引したことで、全体の客数は大幅に増える結果となった。

禁煙後、9月を除いてほぼすべての月で入店者数が前年実績を上回っており、平均すると5.7%ほど顧客数が増えた。総合すると、禁煙化で客単価は減少したものの、それを上回る顧客数の増加があり、最終的な業績は増収増益だった。

この結果を経営学的に考えた場合、全面禁煙化には大きな効果があるという結論になるだろう。その理由は客数が大きく伸びたからである。

飲食店の業績は、基本的に客単価と客数で決まる。より高いものを出し、たくさんの来店があれば儲かるという話だが、両者はなかなか両立しない。安くすれば顧客数は増えるが利益が減ってしまい、高くすると利益率は上がるが顧客数が減ってしまう。

 

飲食チェーンにとっては客数が多い方がよい

客単価と客数のどちらを取るべきか、ということになった場合、大衆店ということに話を限定すれば、客数が増える方がよい。客数が増えたということは、潜在的な顧客がたくさん存在しているということであり、さらに店舗数を増やして業容を拡大する道筋が見えてくる。